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あっ、撮られちゃった!~『スナップ写真のルールとマナー』
日本写真家協会編(評:津田大介)

朝日新書、720円(税別)

  • 津田 大介

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2007年10月3日(水)

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スナップ写真のルールとマナー

スナップ写真のルールとマナー』日本写真家協会編、朝日新書、720円(税別)

 デジカメの一般化や携帯電話のカメラ機能の普及で、我々の日常に深く入り込むことになった「写真」。「現像」や「フィルム」というコストがかかった銀塩カメラの時代と異なり、現在はそうしたコストや手間を気にせず人々が気軽に写真を撮れるようになった。ブログやSNS、Flickrのような写真共有サービスなど、撮影した写真を「発表する場」が生まれたこともこうした状況に拍車をかけているのだろう。

 そんな中、本書の表題にも使われている「スナップ写真」の持つ意味合いや、置かれている状況も年々変わってきている。かつて「スナップ写真」といえば、職業写真家や市井の「写真愛好家」が、明確な撮影意図を持って街や人の自然な風景を切り取った、記録的な要素の強いものが多かった(海外では、撮影者の意図を持って撮影された芸術性の高い写真は「ストリートフォトグラフィ」と呼ばれることが多いようである)。

 しかし、現在は人々が写真を撮影し、発表することへの敷居が大幅に下がったことで、スナップ写真の意味も「目に付いたものを気楽に撮影した写真」という意味に変質してきている。

 スナップ写真のカジュアル化は、スナップ写真の概念そのものと、スナップ写真を撮影する写真家の「社会的立場」に大きな変化をもたらした。その際、大きなキーとなったのが「肖像権」である。

スナップ写真、絶滅の危機?

 肖像権は、プライバシー権の一種で人の姿や形が持つ人権のことをいう。「勝手に写真を撮られたり、撮られた写真を公開されたりしない権利のことでしょ?」と何となく理解している人も多いだろうが、大まかな意味においてはその理解で正しい。

 もう少し詳しく説明すると、肖像権には誰にでも認められる「“人格権”としての肖像権」と、アーティストやタレントなど有名人にのみ認められる、特殊な「財産的」権利である「“パブリシティ権”としての肖像権」の2種類がある。自分のブログに掲載したり、写真雑誌やコンテストに投稿するような「個人の楽しみ」としての撮影・公開と、撮影した写真をポストカード化して販売するといったような商用目的の利用では、肖像権の及ぶ範囲が異なる。

 肖像権というものが存在する以上、本来街中で被写体個人が容易に特定できるような写真を撮る場合、被写体に撮影して良いか許諾を得る必要があるのだ。

 だが、今の写真家にとっては、実はここが一番悩みどころになっているという。スナップ写真というのは、「被写体がカメラを意識したら終わり」という部分があるからだ。

 あくまで街中の日常や自然な表情を切り取るには、ある種「ゲリラ」的な撮影手法を取らざるを得ないため、ここで「肖像権」と写真家の「表現欲」の衝突が起きてしまう。年々人々の肖像権意識が高まり、デジカメやケータイの普及で相対的に「写真人口」が増えたことでこうした衝突も増え、かつては会釈などの「事後承諾」でOKだったスナップ写真がある種の危機に瀕しているのだ。

 本書はそうした衝突が起きなたいために、写真を撮影する者がどのようなルールとマナーを守るべきか、プロの写真家の視点でまとめられたものだ。

 例えば「街中で大道芸人に見とれてた女の子の表情がとても良かったので、つい写真に収めたが大丈夫か」「修学旅行先で撮った舞妓さんの写真を卒業アルバムに載せたい」「六本木ヒルズを撮影していたら警備員に撮影禁止と止められた」といった個別具体的なケースで、写真家がどのように対処すればいいか、わかりやすく解説されている。

 それぞれのケーススタディは「撮影するのであれば(事後でも良いので)被写体に断ったあとで撮影するべき」ということと、「商用利用を目的とした撮影はパブリシティ権がらみで問題になることが多いので、より正式な許諾を受ける必要がある」という2つの原則を説明しているに過ぎない。

 が、スナップ写真における肖像権問題は、実は「憲法問題」であるという側面を持っている。

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