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引っ込め、ジャイアン~『お節介なアメリカ』
ノーム・チョムスキー著、大塚まい訳(評:山本貴光+吉川浩満)

ちくま新書、900円(税別)

  • 山本 貴光, 吉川 浩満

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2007年10月4日(木)

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評者の読了時間2時間30分

お節介なアメリカ

お節介なアメリカ』ノーム・チョムスキー著、大塚まい訳、ちくま新書、900円(税別)

 生成文法理論により現代言語学に革命をもたらしたアメリカの言語学者ノーム・チョムスキーは、政治評論家・活動家の顔も持っている。というより、現在の読書界ではむしろアメリカ政府批判の論客として知られていると言ったほうがよいかもしれない。とりわけ9.11以降は、ますます精力的に政治評論に注力しており、邦訳された本も多い。

 そのチョムスキーが2002年から2007年まで「ニューヨークタイムズ」に寄稿してきた政治論文をまとめたのが本書だ。原題は『Interventions』。「介入」や「干渉」といった意味を持つが、邦題の「お節介」は言いえて妙。

 2002年といえば、9.11同時多発テロの翌年、アメリカ連邦議会がブッシュ大統領にイラクを攻撃する権限を与えた年だ。その後、周知のとおりアメリカ(とその同盟国)はイラクに侵攻、そこで巻き起こされた混乱は現在もなお多数の犠牲者を出しながら続いている。

 本書でチョムスキーが批判の矛先を向けるのは、9.11以降のアメリカが中東地域を舞台に演じてきた干渉主義的行動(interventionism)にほかならない。彼は、圧倒的な軍事力を背景にイラクなどへ介入するアメリカの行動を詳細に分析し、その独善的なふるまいを痛烈に批判する。

アメリカこそ最大のテロ国家?

 批判にあたってはさまざまな統計資料を駆使して、アメリカ政府の行動がイラクの人びとだけではなくアメリカの人びとの意思からさえかけ離れていることを指摘している。

 バグダッドのイラク調査戦略センターが行った調査によれば、イラク人の約90%が、イラクの状況はアメリカ主導の侵略が行われる「以前」のほうがよかったと感じている。さらに、ほぼ半数がアメリカ主導の軍隊の「早急な撤退」を支持している。

 また、アメリカ国民が自国政府にたいして抱く不信感は過去最高の数値を記録している。ジョン・F・ケネディ政治学校の調査によると、一般国民が政府の行動に影響を与える可能性について、回答者の53%が悲観的な見解を示した。これまでもっとも不信感が高まったのはヴェトナム戦争中の1970年だが、この年においてすら同様の反応を示した人びとは41%にとどまっていたというのにである。民意に反した民主政とはこれいかに、というわけだ。

 それにしても、アメリカ政府の「お節介」のしつこさといったらない。本書の分析と批判を時系列に通読すると、その執拗さがいやでも目に留まる。

 近年のアメリカは、「テロに対する戦い」の名目において行われたイラク侵攻以前にも、少なくともコロンビア、中央アメリカ、パナマ、スーダン、トルコ、そしてアフガニスタンにおいて、自国が定義する「テロ」そのものに該当するような介入を行っている。他国をテロリスト国家とののしり軍事的制裁を加えつづけるアメリカこそが最大のテロリスト国家というわけだ。

 まったく「世界の警察」とはよく言ったものだ。といっても、ここで連想されるのは、「おれね、かってにおまわりさんの商売やってんのよ!」と言ってはばからず、どこでも「タイホするっ!」と拳銃を乱射しまくる『天才バカボン』のおまわりさん(目ン玉つながり)なのだが……。

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