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見えない電波でメッセージを送る魔法

『父マルコーニ』デーニャ・マルコーニ・パレーシェ著 御舩 佳子訳 東京電機大学出版局 2500円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

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2007年10月5日(金)

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『父マルコーニ』デーニャ・マルコーニ・パレーシェ著

『父マルコーニ』デーニャ・マルコーニ・パレーシェ著

 当時、すでに電線を伝わる電信は開発されていた。電信は瞬く間に世界中に広がった。大英帝国の繁栄を誇示するために、1897年、女王即位60年記念式典で、英国女王ヴィクトリアはバッキンガム宮殿内の電信室で、午前11時過ぎに電信装置を、「とん」と1つ打った。

 この「とん」という電気信号はたちまちイギリスが世界の領地、植民地に張り巡らした電信線(時には海底電線を通って)、領土の隅々にまでもたらされた。数時間後、世界中から祝電が続々と届いた。大英帝国のもっとも誇らしい日であった。ちょうどこのころ、イタリアの片田舎、フィレンツェ近くの丘陵地帯で、1人の男が手製の不細工な電信機と格闘していた。

 助手(兄)がこれまた不細工な受信機と猟銃をもって、丘を越えていった。姿が見えなくなってしばらくして、男は送信機にモールス符号のS(・・・)を打ち込んだ。すると直ちに猟銃の発射音が丘の向こうから響いてきた。イタリア人マルコーニが無線通信の初期段階の実験に成功した瞬間だった。商才にも長けていたマルコーニは、この単純な装置で直ちに特許出願した。世界は長距離通信を待ち望んでいた。

 マルコーニの装置の簡単な説明をしよう。2つの電極間をスパークさせる。スパークした電磁波は、空中に放出される。この電磁波を受信するために、ヘルツという男が発明した検波器を使ってみた。距離が伸びると受信はなかなか出来なかった。ある時マルコーニは受信機をアース(接地)することを思いつく。これで電波は目視できないところでも受信可能となった。

 マルコーニは今度は大西洋横断通信に挑んだ。ヨーロッパ側はイギリスのコーンウォール半島の先っちょ。アメリカ側はニューファンドランドのコッド岬とした。1901年、マルコーニはコッド岬の受信基地にいた。12月12日、正午過ぎ受信機が(・・・トントントン)と動いた。電信は大西洋を越えたのだ。後は、一瀉千里。電信基地が世界を結ぶのに時間はかからなかった。

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夢の実現にあたっては強く「念ずる」。そうした心構えを支えにビジネスの世界の荒波を渡ってきました。

後藤 忠治 セントラルスポーツ会長