• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

これぞ大人の社会科見学!『世界屠畜紀行』

~「かわいそう」より「見たい知りたい」ものづくりの現場

  • 澁川 祐子

バックナンバー

2007年10月17日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

世界屠畜紀行

世界屠畜紀行』内澤旬子、解放出版社、2200円(税抜き)

 わたしたちは、毎日“命”を食べて生きている。野菜に穀物、魚や海藻、肉……などなど。だが考えてみると、野菜や穀物、魚が“生き物”から“食べ物”になる場面は知っていても、豚や牛が“食べ物”になる瞬間を目の当たりにする機会はほとんどない。

 私自身の経験で言えば、屠畜現場に立ち会ったことは人生のうちでたった一回しかない。以前旅行したベトナムの市場で、鳥を絞め、毛をむしっているさまを目にしたときだ。だが、とりたてて「残酷だ」と顔をしかめることもなく、絞めたての鳥肉を食べて「食感がぷりぷりしていてウマイ」と思った記憶しかない。しかも「自分は生き物を食べてんだなあ」という実感が湧いて、いたく感動したことを覚えている。

 そんな感動を、この『世界屠畜紀行』は思い起こさせてくれた。イラストルポライターである著者が世界各地の屠畜現場をめぐり、実際に見聞きしたものをイラストと文章に起こし、ボリューム満点。屠畜対象は、牛や豚はもちろんのこと、ラクダに羊、ヤギ、犬までにも及ぶ。地域も、東京・芝浦の屠畜場を詳細にレポートしたほか、韓国や沖縄、バリ島、エジプト、チェコ、モンゴル、インド、アメリカと多岐にわたっている。屠畜という複雑な製造工程の「おもしろさ」をできる限りわかりやすく伝えようとした、著者の粘り強さには頭が下がる。

「殺す」ところはほんの入り口

 と、ここまで当たり前のようにタイトルにある「屠畜」という言葉を使ってきたが、一般には「屠殺」のほうがメジャーである。あえて「屠畜」を使うことには、著者なりのきちんとした理由がある。

<生きた動物を肉にするには、当然殺すという工程が含まれるのだけど、殺すというということばにつきまとうネガティブなイメージが好きでなかったことと、これから読んでいただければわかるように、なによりも殺すところは工程のほんのはじめの一部でしかない。そこからさまざまな過程があって、やっと肉となる>

 著者は、屠畜を生業とする人が日本では昔から差別されてきたこと、差別が薄れてきたいまでも「汚い」「かわいそう」と感情的に語られることに疑問を呈する。肉を食べるなら、肉を製造する過程を忌み嫌うのはオカシイじゃないかと。そして、世界では屠畜がどのように行われ、従事する人々がどのように評価されているのかを探るべく、この本が生まれた。

 世界を旅した結果、「差別はあったりなかったり」である。

コメント0

「超ビジネス書レビュー」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

トランプ政権のここまでの動きはスロー。

ジョセフ・ナイ 米ハーバード大学特別功労教授