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『銀行 儲かってます!』荒和雄著、集英社新書、680円(税別)
最近気づいたのだが、行きつけの銀行のATM画面に曜日・時間ごとの利用料および手数料が表示されるようになった。
決して大きいとは言えない画面に複雑な料金体系である。見にくいこと、この上ない。どうせ利用客の利便性など眼中になく、画面を作ったという事実だけで、客から何かクレームが来た場合の免罪符にしたいのだろう。
それにしてもATMで自分の預金からお金を引き出しただけなのに、夜間や休日の場合に、安くない手数料も取られるのは合点がいかない。第一、バブルの崩壊後、公的資金という名目の血税を注ぎ込んでもらい、ようやく再生できたはずなのに、最近は最高益を軒並み更新、わが世の春を謳歌しておきながら、この金利の低さは何だ……こうした銀行への不満を山ほど抱えている人が、この本の格好の読者になる。
著者は勤続30年の元・銀行マン。利用者の目線に立ち、銀行の内幕をさらけ出していく。
第一章でいきなり「銀行のここが許せない13のポイント」とくる。金利の低さの指弾から始まり、投資信託の勧誘がしつこ過ぎる、窓口を3時で閉めるな、ATMコーナーの長蛇の列を何とかせよ、銀行員の給与が高過ぎる等々、誰もが感じている銀行への不満がコンパクトに綴られる。著者の怒りに同調し立腹した人は次章以降も自然に読みたくなる。
もうけ先がこれしかなくなって…
景気が回復したものの、依然として低金利が続く理由については、米国債を日本と中国で買い支え、それによって米国経済が維持されているという事情を著者は指摘する。日本国内の銀行預金の金利よりも米国債の金利が高いから、日本から米国へ金が流れる。いわば政治の影響が大きいのである。日本も世界の先進国並みの3〜4%の金利に移行せよ、そのために日銀の決断が必要、と著者は説くが、果たして米国が黙っているか。
また、6大金融・銀行グループ(メガバンク)が今年3月期の決算で、巨大な利益を上げているのは確かだが、その経営状態は病み上がりの病人にたとえられるという。つまり、収益力と株主還元力の双方において、欧米のメガバンクに比較すると、どこも圧倒的に見劣りする。
メガバンクの決算内容を詳しく見ていくと、これまで儲けの主体だった企業への貸し出しが減少していることがわかる。中小企業は不況の影響をいまだ脱せず資金を借りる余裕がない、一方の大企業は増資などを自ら行い、資金調達を自社でできるようになったのだ。
それに代わる収益の大きな柱が個人向けの住宅ローンと投資信託の販売手数料である。投資信託とは投資家から集めた資金を、株式や債券に投資し、その運用益を投資家に分配する金融商品であるが、著者は「元本割れも覚悟せよ。難解な専門用語に騙されるな」と強く訴える。
だが、ここまでは経済・金融分野のジャーナリストなら誰でも書けることかもしれない。この本の読みどころは、銀行という“伏魔殿”およびそこに住む“魔物”たちの生態を綴った以下の箇所にある。
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