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「金銭等(金銭に限る。)」って?~『会社法はこれでいいのか』
浜辺陽一郎著(評:荻野進介)

平凡社新書、720円(税別)

  • 荻野 進介

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2007年10月22日(月)

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評者の読了時間3時間48分

会社法はこれでいいのか

会社法はこれでいいのか』浜辺陽一郎著(評:荻野進介)

 今年5月1日から完全施行されている会社法。もっとも、主要部分は昨年から施行されており、有限会社の廃止、株式会社の資本金は0円からでいい、これまで最低3人は必要だった取締役もひとりでOK、といった単純明解な改正点だけは頭の片隅に残っている人も多いだろう。

 しかし全979条もある長大な法律である。「重箱の隅をつつくようで、専門家でさえわかりにくい」という悪評もある。本書は、そんな会社法の制定の背景や明らかな問題点、逆に評価すべき点、それらを踏まえた活用法などをコンパクトに整理した一冊である。半年前に出された岩波新書の『会社法入門』を読んでさっぱりわからなかった人には、特にお勧めしたい。

 そもそも、会社法制定の背景には2つの流れがあったという。ひとつは景気対策としての起業の促進であり、もうひとつが経営の効率性の追求である。

 前者の具体策が「ゼロ円起業」や「自己の株式取得の容認」、「最低資本金制度の撤廃」などとして現われ、後者に関していえば、「うるさい少数株主の追放」、「株主総会の権限縮小」といった策を経営側が講じることが可能になった。これらを弱肉強食の世界の実現と著者は表現する。

理屈が通って分かりやすさが引っ込む

 意外なことに、株主総会の権限は旧商法下のほうが強かった。アメリカでは株主の力が強大というイメージがあるが、それは代表訴訟などに限った話で、この会社法で日本もアメリカ並みに弱くなった、という指摘は新鮮だった。

 問題点に関しては、まず些細なところで、用語の難解さ、まわりくどさが目立つという。例えば、同法154条1項をご覧いただきたい。「金銭」とすれば済む箇所が「金銭等(金銭に限る。)」になっているという指摘、思わず笑ってしまった。立法担当者(官僚)の頭の構造がよくわかるというものだ。

 いや、笑って済む問題ではない。著者は、担当者が果すべき役割を怠ったのでは、という疑問を投げかける。というのも、当の担当者(東大工学部出身の通産官僚)が雑誌の対談で、「立法ニーズを鑑みて法律を作ったのではない」と明言しているからだ。そのことを著者は〈今回の会社法は、理系の方が理系の頭でつくられたような面がある〉と指摘する。

 例えば、今までの旧商法下では、転換株式に関してはひとつの条文さえ読めば中身が理解できたが、今回の会社法ではそれが「因数分解」され、別々の条文で解説されており、それらを全部読まなければ「転換株式とは何ぞや」が理解できなくなった。

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