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伝説の4コマ漫画が映画になるまで~「自虐の詩」プロデューサー・植田博樹氏【後編】

2007年11月2日(金)

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 居なくていいプロデューサーと口にしたとき、植田さんは楽しげに「ふふふふふ」と笑った。映画のプロデューサーといっても、仕事の仕方は人それぞれに違っている。植田さんを取材したいと思ったのは、彼の書く製作日記が、型にはまったものではなかったからだ。頭をぶつけながら、右往左往する「植田博樹」というプロデューサーの姿が文字から浮かんで見えた。

── 植田さんが脚本を書くこともあるんですか?

植田 今回は準備段階で、ちょっと思い余って書いたりもしましたが。それはやっちゃいけないことなんですよ。ただ、つい思い余ってしまうことは、しばしば。

 テレビのプロデューサーの仕事は、これは面白いと思うと、企画書を作ることからスタートします。企画が通れば、あとは監督とスタッフにお任せする。仕事としては、お金の計算もあるけど、テレビ局のイメージとかブランドのことを考えることが大事というか。

 でも、映画の場合は、儲からないといけない。少なくとも損をしてはいけない。だから映画のプロデューサーは、トレジャーハンター的な面がありますよね。

 TBSの社員でもある植田さんは、お金を集めるポジションにはない。だから、お金を出す人の痛みを感じずにすむぶん、プロデューサーとしては中途半端な立場を感じることもあるらしい。

植田 テレビ局のドラマの部署にいるプロデューサーは、職制上、外部からお金を集めてはいけないことになっているんです。映画の部署にいるプロデューサーだけが、出資を募ってもいい資格がある。だから、企画を作って、キャスティング案を出して、まず映画を作る部に提案し、判断してもらうしかなかった。

「自虐の詩」プロデューサー・植田博樹氏

「自虐の詩」プロデューサー・植田博樹氏

 で、結局、この作品は、TBSとしては出資するにあたわずという判断が下りた。でも、どうしても映画にしたいという思いが余って、流れ流れて、お金を出すのでやりましょう、といってくれる人があらわれ、その人たちが製作費を集めてくれて、無事今日にいたるわけです。

 だから僕の場合は、お金を集める仕事は抜きになっている。キャスティングであるとか脚本作り、ロケハンに監督と一緒に行って、ああでもないこうでもないと言う。たとえるなら、ビートたけしさんにおける高田文夫さんのように「ダハハハ」と監督を盛り上げていくのが仕事というか。そのぶん、ビジネス的にしっかりとした人に加わってもらって、配給にこぎつけてもらっているわけです。

 考えてみると、僕はビジネスの才能が異常に欠落しているんだと思います。これまで予算を守れたことがない。守る気のない確信犯だと会社の中では思われているみたいなんですが、それは誤解で、一生懸命守ろうとしてます。でも、「このカットは作品として残るところだからクレーンを使いたい」とかディレクターに言われると、悩んだあげくに「よし、クレーンだ!」って。

 でも、ディレクターたちはそんな僕の悩みなんか知らずに、植田は価値がわかっていないから必要だというと発注してくれるよ、ちょろいちょろいぐらいに思われているようですね。結局、いまひとつお金に関しては弱いってことです。

 監督が悲しげな目をしていると、なんとかして要望をかなえたくなる。そういう甘い男は、本来はプロデューサーには向かないものらしい。だから「ダメな男」を自称する。

植田 そういう意味では、僕は幸江に似ているのかもしれない。どうしても映画にしたいと思ったのもそんなところでつながっていたんでしょうか。

テレビ屋が暴走するとき

── 先ごろ公開された「包帯クラブ」(原作・天童荒太/監督・堤幸彦)にも関わられていますが、植田さんが映画化の権利を獲得するために、出版社宛に書かれた企画書は変わったものだったとか。それが原作を託す判断になったと、編集者の松田哲夫さんが、筑摩書房のweb連載の“「包帯クラブ」との長い旅”というコラムの中で書かれておられますが。

植田 その企画書は、僕が小学生のときに、まあ、ある事件があって、そのことに今でも責任を感じていて…。原作を読んだときに、自分が抱えてきた、その時の許されない罪みたいなものがシンクロして、その思いを書き綴ったんですよ。

 このキャラクターがどうだとか、このシーンに惹かれたとか、ではなしに。あるいは、こうすれば20億は稼げますよ、とかでもない。とにかく、自分の思い入れをライナーノーツのように書いたのを、勢いのままに出したんです。

 松田さんが出演されている「王様のブランチ」のプロデューサーが僕のことをよく知っている人で、松田さんに「植田は妄想癖があるから、原作権欲しさにこんなウソを書いている」と言って渡したらしいんです。

 それぐらい、企画書としては変わったものだったということなんでしょうけど。あとになって僕も、書いたものを返してもらいたくなったぐらい、書いたことは本当の話なんです。ちょうど「自虐の詩」を作っていた頃に、湧き上がるようにして書いた。これは自分が作らないといけないと思ったんですよ。

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