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ご機嫌な人を見ると、不機嫌になる社会

  • 糸井 重里

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2007年11月2日(金)

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 ウェブ時代は自由で個人が活躍できるぞっ、と思ったらどうもさにあらず。

 世の中、なんだか重苦しい。遊ぼうとしても、消費しようとしても、あんまり心が躍らない。

 どうしてだろう?それは、こんなひとたちが増えているから。

 他人の「ルール違反」を指摘することに「正義」と「喜び」を感じ、実は自分がとるべきリスク(と楽しみ)から逃げているだけ。見渡せば、テレビの報道も社会も経済の世界も、「ものをつくったり」「消費したり」「楽しんだり」するよりも、なんだかみんながひたすら「管理しあう」ことで疲弊している……。

 なぜ、こんなことになっちゃったんだろう? というお話を、糸井さんからうかがいました。

 (前回から読む)

 今回は、そんなみんなが足を引っ張り合う「管理」社会の中で、「ご機嫌」に生き、働いて行くにはどうするか、のお話になりそうです。さっそく再開しましょう。

―― 気がつくと、日本中どこでも「管理」をしっかりやれ、という話ばかりになってますね。「公」イコール「管理」で、「私」のほうは、そこからはみ出すと、管理大好き「屁尾下郎」君に、こっぴどくやられるんじゃないか、という恐怖感がある。

糸井 そもそもエリートと呼ばれるひとたちって、結局、管理が上手な人のことでしたからね。役人はもちろんだけど、CEOとかCFOとか、会社のトップのお仕事だって、早い話が管理ばかりなんですよ。で、そんな仕事ばかりが増えているような気がします。

―― 「管理が成功するためならば、金がかかろうが、人が死んでもかまわない」といった本末転倒まで起きています。北九州市の年金問題で、餓死者が出ちゃったり、管理責任を問われて自殺する人が出たりとか。

糸井 いろいろな問題がやっぱり、自由と「管理」、組織と「管理」、仕事と「管理」みたいな、「××と管理」で、だいたいストップして、そこで終わってしまう。

 今、表現されているものは、みんなそうですよね。松本人志さんの特撮ヒーロー映画「大日本人」のテーマもそうだったし、おととい見にいった松尾スズキさんの映画「クワイエットルームにようこそ」、こちらがまた、精神病院を舞台にした自由と管理のお話なんです。

 断っておきますと、管理は全部悪い、とか、管理なんかいらない、と断言しているわけではないんです。

 ただ、「管理」という仕事はもうすこし腰を低くしてほしいなあと思うんです。もっとはっきりいってしまうと「本当は俺たちの仕事って、ない方がいいんだよな」という位の気持ちで、やっていただきたい。そういうことです。

 「管理」といえば規則ですよね。法律なんかがそう。

 でも、規則って、ほんとはひとつもないのがベストでしょう? 規則なしで世の中が動くんだったら、そのほうがいいに決まっている。実際はそうも行かないので規則はあるんですけど、だからこそ、規則がひとつでもあったら、しょうがない、みなさん申し訳ないけれど、いざというときはこの規則の言うこと、聞いてくださいませんか、という具合の心持ちが「管理」のお仕事には必要なんじゃないのかな、と思うんです。

―― なるほど。高いところから叱りつけるんじゃなくて。でも、役所だの警察だの、「管理」の人っていうのは、どちらかというと姿勢が逆ですよね(笑)

「管理」は「公平」であるために「不機嫌」になる

糸井 世の中を管理する仕組みがなぜかどんどん複雑になってます。すると今度は、管理の仕組み自体を理解するのが、素人では難しくなってくる。

 そこで、僕はこの複雑になった管理の仕組みを理解したぞ、ということをを示す資格なんかが登場する。すると、この資格は持っていたほうがいいぞ、と試験を受けて管理の資格を手に入れようとするひとたちがたくさん出てくる……。こういう話を、最近、よく聞きますよね。でも、どうみても世の中のありようとして健康な姿じゃない、と思うんですよ。

―― そういえば、「管理」の仕事をしている人はだいたい不機嫌そうですよね。ぶすっとしてる。

糸井 そうなりがちですよね。公正なふりをしなきゃならないから。

―― そうか、基本的に不機嫌な仕事なんだ。

糸井 ある人には笑って、別の人には笑わない、となったら管理者として不公平でしょう。管理は不公平じゃいけない。かくして管理の人の顔はいつもポーカーフェイス、いつも不機嫌そう、となってしまう。

―― なるほど。

糸井 その逆が小泉純一郎さんだった。

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