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母国フランスの人々を感動させたメタルビーズバッグの復刻

倉橋佳子(くらはし よしこ) ―― メタルビーズバッグ作家

  • 大熊 文子

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2007年11月6日(火)

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 メタルビーズバッグをご存じだろうか。1900年代初頭から30年代にかけて、パリの社交界で女性たちの手に握られていたバッグだ。工業製品である金属製ビーズを手仕事で一段一段編み上げて作るこのバックは、当時、一世を風靡した。しかし、第二次世界大戦後は作り手が途絶え、世の中からすっかり忘れ去られてしまった。

倉橋佳子氏

メタルビーズバッグ作家 倉橋佳子氏

 その幻のバッグを世界でただ一人復刻させたのが倉橋佳子さんだ。倉橋さんは、紳士服メーカーの経営者である夫と子どもたちとともに駐在したパリで、1973年にその幻のバッグに出会った。

 「言葉も満足に通じない異国の地にもやっと慣れ、初めてひとりで散歩をした日のこと。何度となく通っていた道なのに、この時は今まで気にもとめていなかった骨董品屋のバッグが目に飛び込んできました。『なんてきれいなんだろう。いったいどんな作りになっているのだろう?』と、おでこをショーウインドウにピタっと押しつけて一心に覗きましたよ」

 待望のバッグを手にした日を境に、倉橋さんの生活は大きく変わることになる。その後も、骨董品屋の女主人から紹介を受け、1975年の帰国時には、数十個のアンティークのメタルビーズバッグを持ち帰った。

世界中でたった一人、復刻に挑戦

 「私は単なるコレクターでしたから、自分で作るなんて夢にも思っていなかったんですけどね」。持ち帰ったバッグはどれも骨董品。ビーズがほどけ崩れ出してしまって、小手先の修理では追いつかなくなっていた。「この美しいバッグをこのまま朽ちさせ、絶えさせるわけにはいかない」。作る技術はすでに世界中のどこにも残っていない。教えを乞う人も全くいない。ゼロからすべてを自分で作り上げなければならない。

 バッグの主たる材料となるのはビーズだ。バッグには直径1ミリにも満たないビーズを5~6万個を使用するが、100分の1ミリという単位という想像を絶する緻密さが要求される。復刻技術同様、バッグ用のメタルビーズは世界中どこにも現存しない。そこで、ビーズから自前で作ることになった。

倉橋佳子氏

 精巧なビーズをつくるために、まずビーズ作りの共同開発をしてくれる工場を探し回った。やっと協力してくれる先をみつけ、そこでビーズを作る機械を製造することにする。ちなみにこの機械製造のために、マンション購入と同じくらいの膨大な費用がかかった。機械ができあがった後も、ビーズ素材の開発、鋳バリの処理、色付けなどの苦労を重ねることになる。

 その後も、ビーズをつなぐ糸、針、ビーズ織機、バッグの中の生地の開発と、長い苦難の道のりは続いていく。「高い授業料を払いつつ、壁また壁を乗り越え、1つずつ問題をクリアしていきました」と倉橋さんは振り返る。

 1975年に始まった復刻作業は結局、4年間にも及んだ。この間、資金面や開発のサポートをしたのが倉橋さんのご主人だ。自らも紳師服メーカーを一から立ちあげた経験があるだけに「力強い助っ人だった」のだ。このご主人のサポートなくして、メタルビーズバッグの復刻はありえなかった。

 1979年に製造設備が整うと、その後は、メタルビーズバッグ作家としての道を一心に歩いていくことになる。

 フランスと日本の文化を融合させたオリジナルデザインのバッグを次々に発表し、2005年にはフランスで「パリ里帰り展覧会」を開催した。本家本元のフランスの大使館関係者たちが「よくやってくれました」「とても美しい。感動した」と大絶賛を浴びせた。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官