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不幸の原因は選択の誤り。それならば!~『偶然のチカラ』
植島啓司著(評:朝山実)

集英社新書、680円(税別)

2007年11月7日(水)

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評者の読了時間4時間30分

偶然のチカラ

偶然のチカラ』植島啓司著、集英社新書、680円(税別)

〈よく雑誌の特集などで「いくらあったら海外で生活できるか?」というのがあるが、そう考えた時点でもうすでにアウトなのだ〉

 日本人は、「お金」と「幸福」を結びつけがちだが、そんな考えでは海外で楽しく暮らすなんてことは無理だと著者はいう。

 そういえば、日本でお金を貯め、「第二の人生」を東南アジアのリゾート地で過ごしている夫婦をテレビで見たときのこと。悠々自適と紹介されるのだが、夫人はブランド・ショッピングや現地の日本人コミュニティとの交流に忙しい。のんびりとした現地の人たちの中では異様に映るのだが、ご夫人、まったく気付いていない。

 情報番組での「こんな老後もありますよ」的なガイドだったが、暮らしぶりの優雅さに比して、日々ヒマをもてあまし、強迫観念に駆られたように何かに興じようとする姿はいささかも楽しげではなく、二人して若々しさを演ずることに疲れているかのようでもあった。スタジオのコメンテーターたちも「うらやましい」と口にするものの、言葉とは裏腹、表情には興味のなさが見てとれた。

 本書は、不安な時代をどう生きればいいのか、未来の見えない時代のモノの考え方を説いた本だ。著者は博識の宗教学者で、経験豊富なギャンブラー。恋愛に関する著作も数多い。

 自己啓発書の類のようだが、そうでもあり、そうでもない。読者が、自分なりの結論を導きだすように構成されている。

五分五分の賭けの「必勝法」

 われわれの生活は、日々、何かを選ぶことによって成り立っている。Aか、Bか。いずれか一つを選ばねばければならない。

 昼飯はカレーか蕎麦か。この程度ならば大したことではないが、その後の人生を大きく左右する瀬戸際に立たされた場合、何を指針にすればいいのか。

 遠からず結婚しようと思っている恋人がいるのに、ある日、運命的とも思える人に出会った。さあ、こんなときいったいどうすべきなのか?

 著者は、こうした難問を次々と持ちかける。幸せになりたいが、自分さえよければいいというのもそれはそれで……。決断に倫理上の苦悶も生じる。

 四谷怪談の伊右衛門は、己ひとりの利に走ったがため、妻のお岩の恨みを被った。読者の目に、彼の選択ミスは明らかである。

 しかし、現実の人生では、選択しなかった先に何があったのか。結果は永遠にわからない。小説や映画で、Y字路のもう一つの道を歩んでいたらば式の物語がしばしば登場するのはそれゆえだろう。

 偶然と必然。結果と原因。これらをテーマに、ギリシャ神話から占い、ルーレット、南方熊楠に矢沢永吉と、切り出される逸話はバラエティに富む。

 たとえば、賭け。英国にチャーリー・ディックスという胴元がいた。彼は、確率が50%であるときには、二つの条件をつけ、どんな賭けでも引き受けたという。

 その条件とは、

  • 賭け金は、失うと死ぬほどの打撃をこうむるほどの金額であること。
  • コイン投げなら、賭けを申し出た当人が最初に表か裏かをコールすること。

 これは、森巣博氏が『無境界の人』(集英社文庫)の中で、ギャンブルの必勝法として紹介している逸話からの引用だ。

 なぜ、これが必勝法であるのか。

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