「【シリーズ「定年」】地中海スローフード、スローライフのススメ」

【シリーズ「定年」】地中海スローフード、スローライフのススメ

2007年12月14日(金)

糖尿病は発症する前、悪化する前に手を打て!

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 こんにちは、河合勝幸です。今回は、「糖尿病とはどんな病気か?」ということを中心にお話ししたいと思います。

 日本における糖尿病患者は、実に200万人以上。予備軍を含めると1300万人以上にものぼります。発症するのは40代以上が多く、中高年では4〜5人に1人が糖尿病、またはその予備軍という計算になります。

 糖尿病は初期症状がほとんどないため、発覚した時には合併症が起こり、「すでに手遅れ」ということが少なくありません。糖尿病と自覚がないまま、あるいは、自覚しているのに糖尿病ときちんと向き合わないままだと、病気は確実に進行していき、心臓病、脳卒中、失明、腎不全、神経症のほか、手足切断を余儀なくされるなど、深刻な合併症につながります。実は糖尿病で最も怖いのは、合併症を引き起こして障害者になること。一度傷めた体は、一生元に戻ることはないのです。

 そもそも糖尿病とは、体がすい臓からインスリンというホルモンを分泌できない、あるいはインスリンが正常に働かないために、エネルギーの源であるブドウ糖を体内にうまく取り込めない糖代謝障害のこと。血糖値が異常に高くなるのが特徴です。血糖値とは、1dl(100ml)の血液に含まれるグルコース(ブドウ糖)の量をミリグラムで表現した値で、mg/dlという単位で示されます。通常の人だと、100mlあたり80〜100mg程度です。

 ブドウ糖というのは、体が吸収しやすいように唾液や消化酵素によって、炭水化物(穀類など)が分解されたもの。ブドウ糖はいったん肝臓に入ると、必要な量だけがエネルギー源として送り出され、過剰な分はグリコーゲンとして肝臓に貯えられます。ブドウ糖をグリコーゲンに変えて蓄えたり、必要に応じてブドウ糖の形に戻したりするのが、インスリンなのです。つまり、インスリンが不足したり、うまく作用しないと、ブドウ糖が細胞内に取り込まれずに血液中に溜まってしまい、血糖値が高くなります。これが糖尿病です。

 つまり、インスリンはブドウ糖が筋肉や脂肪組織の細胞内に入る“カギ”というわけ。この“カギ”をもともと持っていないのが1型糖尿病、“カギ”が曲がってしまっているか、取り出すのに時間がかかるのが2型糖尿病です。ちなみに日本人の糖尿病患者の95%は後者で、もちろん私もそちらに属しています。

 2型糖尿病の原因には、遺伝的体質、高齢社会、肥満、過食、運動不足、都市化、工業化社会など、さまざまな要因が指摘されています。要は、誰もが糖尿病になる要素をもっているということ。だからこそ、糖尿病にならない生活を送ったり、予備軍の人は生活を根本的に見直したり、不幸にも発症してしまったら悪化させないことが大切なのです。

 このように糖尿病はとても恐ろしい病気です。決してこの病気のことを忘れて暴飲暴食を繰り返したり、侮ったりしてはいけません。でも、四六時中意識していても楽しくないものですよね。そこで、私はいつもこんなふうに考えるようにしています。

 私の手札の中にはいつも、糖尿病という“ジョーカー”がある。このジョーカーは使うこともできなければ、捨てることもできない。そのルールを無視して手札から抜いてテーブルに伏せると、15年、20年経った時、とんでもない形で回ってくることになる――。

 とはいえ、前回もお話ししたとおり、糖尿病だからといって、あるいは糖尿病が怖いからといって、食事などの人生の楽しみまであきらめてしまう必要はないんです。QOL(生活の質)は損なうことなく、慢性病と向き合っていく。

 次回は、糖尿病とともに生きて30年の私が見つけた、スペイン人やイタリアン人のように人生を謳歌しながら健康に過ごす極意をお伝えできたらと思っています。

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著者プロフィール

小倉 若葉(おぐら・なおよ)

小倉 若葉

大学卒業後、編集プロダクション、ライター事務所を経て独立。美容・健康に関する記事を中心に、編集・執筆する。『日経ヘルス』では、河合勝幸氏の連載を4年以上に渡って担当。共著に『25歳からの“自分だけのHAPPY”をつかむ本』(大和書房)。Dualのサイトへ

 

河合 勝幸(かわい・かつゆき)

河合 勝幸

1940年、川崎生まれ。フランスの伝説的シェフ、レーモン・オリヴェの弟子。38歳のとき2型糖尿病と診断される。バルセロナ在住中に地中海料理の健康効果を体験。その後、「おいしく、体によく、きれいになれる」地中海料理レシピを研究史、帰国後日本における第一人者に。現在は千葉に菜園を持ち、愛妻、愛犬とともにスローライフを実践中。また、糖尿病患者のサークル「ソモス」を主宰し、地中海食の食材を開発・提供する。米国糖尿病学会会員。著書に『河合勝幸のおいしくてきれいになる地中海スローフードレシピ』(日経BP社)、『美食をあきらめないで 糖尿病新レシピ』(集英社Be文庫)、『糖尿病のある人の海外旅行術』(講談社)など。


このコラムについて

【シリーズ「定年」】地中海スローフード、スローライフのススメ

「食」は、文化の根っこ。豊かな食生活を送っている人は、豊かな人生を送っている人ともいうことができます。50歳にしてリタイアを宣言し、スペイン・バルセロナに移住。現在は千葉県で自家菜園を耕し、おいしくて体に良い食生活を実践する河合さんに豊かに生きるコツをお伺いします。

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 2007年、「団塊の世代」が定年のピークを迎える。日本の人口構成の中で最大の集団が、これまでとは違う行動原理に基づいて、新しい生活をスタートする。

 一個人としてみれば、この社会構造の変化の中で、セカンドライフを「いかに豊かに生きるか」が大きなテーマとなってくる。「資産(カネ)」「健康(カラダ)」それに次の仕事や学習、さらに趣味などなどを含めた「心(ココロ)」を、どのようにデザインしコントロールしていくのか。

 この「シリーズ『定年』」企画では、先に挙げた視点から、充実したライフスタイルの提案を試みる。

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