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哲学を連れて旅に出よう

『旅する哲学 大人のための旅行術』 アラン・ド・ボトン著 安引宏訳 集英社刊 2700円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

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2007年11月9日(金)

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『旅する哲学 大人のための旅行術』 アラン・ド・ボトン著

『旅する哲学 大人のための旅行術』 アラン・ド・ボトン著

 どうも、若者向けの安手の旅行ガイドが多すぎる。ぎゅうぎゅう詰めのジェット機に押し込まれ、旅行情報誌に載った店で土産を買い、食い物屋で地元の名物を食べ、世界遺産をバスで回る。そして当該地へ行ってきた、面白かったと、はしゃぎ回る。

 それはそれで、楽しい旅だろう。本書は哲学を誰にでも分かる一般向けの解説書、『哲学のなぐさめ』で一躍人気哲学者になったアラン・ド・ボンの手になる『旅行術』の本である。

 著者はロンドン大学大学院で哲学の指導教官を務める哲学者。旅に日常性を求めるのは間違い。旅そのものが日常ではないことをまず心得るべきだ。さもないと旅行に付属する重要要素である、「未知への憧れ」、「困難の克服」という要素が旅の中に現出しない。

 なぜ、人は旅に絶景を求めるのか。そこには荘厳があるからだ。荘厳さの前にひれ伏すことは敗北ではない。重畳と連なる雪を頂いた山頂、あるいは空漠の砂丘。言語を絶する壮大さに、精神はひれ伏し、活動的になるだろう。という予想をもとにド・ボンドはシナイ砂漠に出かけていく。そこで感じた荘厳さの極みを、人を欺くような文章に仕立て上げればよい。これが、「大人の旅行術」だ。

 ゴッホのプロバンスの旅を見てみよう。ゴッホを訪ねる旅は、いくつものパックツアーに仕立て上げられている。パリからアルルへの旅の中で、ゴッホは、「ぼくはいまもはっきり覚えている。あの冬、パリからアルルに向かう車中で、ぼくがぐんぐん興奮していったことを」。この一文を読んで、ド・ボトンは、アルルをその興奮を追体験してみようとアルルに向かった。

 初めは失望しかなかった。しかし旅の途上で一本の大きな糸杉にであった。枝が渦を巻く勇壮な樹木だった。ド・ボトンがゴッホの描いた糸杉のくねるような樹様と、目の前にある糸杉の現実を比べたとき、目から鱗が落ちた、と書く。

 本書には素晴らしいモノクロ図版が盛りだくさん。それを見るだけでも楽しい。

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