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なぜ「ゆとり教育」は失敗したのか?
~せっかちな創造性の追求【前編】

  • 広田 照幸,斎藤 哲也

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2007年11月16日(金)

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【特命助手サイトーの前説】

 広田先生の話でも触れられていますが、11月7日に、文科省が新しい学習指導要領の「審議のまとめ」を発表しました(新しい学習指導要領)。

 そこでは、「ゆとり教育」という言葉こそ使われていないものの、「生きる力」を実現するための5つの課題という形で、現行の学習指導要領について反省の弁が語られています。

 でも、反省すべきは文科省だけじゃないのでは? 喉元すぎればなんとやらで、ゆとり教育は当時の文部省の暴走のように思われがちですが、じつはそんなことはなかった、というのが今回のお話です。

 前回(「凶悪犯罪は低年齢化」していない~子どもに対してせっかちな大人たち)まで、「子どもに規範が身についていない」という議論がはらむ、大人のせっかちさについてお話ししました。

 実は、近年の教育改革論のあちこちに、そういう「大人のせっかちさ」がみられます。そこで今回は、1990年代から2002年の新カリキュラム施行までの、いわゆる「ゆとり教育」について、その点をお話ししたいと思います。

 先日、中央教育審議会が提出した新学習指導要領の中間報告では、従来型の主要教科と体育の時間数を大幅に増やして、総合学習の時間は、週3時間を2時間にカットしています。

 全授業時数が増えてしまうため、学校現場の負担の増加、一層の多忙化の問題はあって、そこの部分はきちんと何らかの策を講じてほしいとは思いますけれども、主要教科をしっかり教えるという考え方については、私も賛成です。

経済界も要望していた「ゆとり教育」

 そもそも、「ゆとり教育」路線は、世の中の動きをわきまえない文部省がとんちんかんな改革を進めてしまった、というわけではなくて、財界なんかからの賛同もしっかり得ていたんですよ。多くの人が今は忘れてしまっているけれど。

 たとえば、1996年10月3日の経済同友会「規制撤廃・緩和に関する要望」では、次のように書かれています。

<昨年四月の当会提言「学校から『合校』へ」で示した通り、学校での教育内容は基礎・基本に絞り込み、多様化は校外の自由教室(科学の発展学習、情操教育の場)および体験教室(子供たちが自然や他人とぶつかる場)の場に委ねるべきである。第一五期中央教育審議会第一次答申(九六年七月)においても、学校における「教育内容の厳選と基礎・基本の徹底」が主張されており、当会と同様の方向性と認識している。>

 教育内容の削減の方向を打ち出した中教審の方針は、自分たちの意見と同様の方向だ、と論じています。この文章の作成に関わった人たちは、その後どうしているのでしょうね。

 こういうカリキュラムのスリム化論は、そこにも出てくる、経済同友会の提言「学校から『合校』へ」(1995年4月)だけではありません。

 社会経済生産性本部が1999年7月に出した報告書「選択・責任・連帯の教育改革」でも、「小中学校のカリキュラムを、……、大幅に整理することが必要だ」と主張されています。

 小渕首相の私的懇談会「21世紀日本の構想」懇談会の報告書(2000年1月)でも、「現在の義務教育の教科内容を五分の三にまで圧縮し、義務教育週三日制を目指す」といった提言がなされています。

 なんのことはない、90年代の「ゆとり」や「スリム化」に向けた改革は、文部省が独走して進めたわけではなく、財界や保守派知識人まで含めた広い支持のもとに進められていたんですね。

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