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全四巻、模本や断簡まで揃えた《鳥獣戯画》、そのナゾ

サントリー美術館 学芸員 三戸信惠氏

  • 木谷 節子

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2007年11月22日(木)

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 《源氏物語絵巻》《信貴山縁起絵巻》《伴大納言絵巻》《鳥獣人物戯画絵巻》――日本の「四大絵巻」に名を連ねる《鳥獣人物戯画》(以下、鳥獣戯画)。ウサギやカエルなどの動物たちが、遊び、笑い、飛び跳ねる姿を、自由闊達な線で描いたこの絵巻は、よく知られているにもかかわらず、今までその全貌はほとんど紹介されてこなかった。現在、サントリー美術館で開催中の「鳥獣戯画がやってきた!」(前期:~11月26日、後期:11月28日~12月16日)は、《鳥獣戯画》全四巻はもちろん、模本や断簡まで公開した、研究者にとっても大変貴重な展覧会である。この展覧会を企画・担当した三戸信惠氏に、《鳥獣戯画》のナゾと、今後の課題をうかがった。

1つの絵巻をじっくりと見ることができる、貴重な機会

「《鳥獣戯画》は本当に分からないことだらけで、仮説を見つけて突き進んでも必ず肩透かしを食らうんです」と語るサントリー美術館学芸員の三戸信惠さん

「《鳥獣戯画》は本当に分からないことだらけで、仮説を見つけて突き進んでも必ず肩透かしを食らうんです」と語るサントリー美術館学芸員の三戸信惠さん

 まず、この展覧会を企画した経緯についてお話ししますと、私が当館に入った平成11(1999)年、サントリー美術館では《信貴山縁起絵巻》を全巻公開する展覧会を行いました。この時に、来館者の方から「1つの作品を集中して見られる機会があって、とてもありがたい」というお声をたくさんいただきまして、その時から、絵巻を丁寧にお見せする展覧会をやってみたい、と思っていたというのが大きな理由の1つです。

 例えば、美術展の世界では、あるテーマに沿って、いろんな作品を集めることが学芸員の手腕とも言われています。しかし、そういう展覧会ではどんなに素晴らしい作品でも、数ある出品作の中の1つになってしまうので、いろいろ見たけれど、結局何も覚えていない、ということが往々にして起こってくる。

 また、そのように総花的に作品を見せる展覧会では、場所的な問題もあって、絵巻はどうしても一番有名な場面や、テーマに合う部分だけの展示になってしまうんですね。しかし、時間と空間が横長の画面の中に連続して展開する絵巻は、他の国では例を見ない日本が誇る造形文化ですから、やはり絵巻をきちんと広げて、その高度に発達した画面構成を見ていただく、という展覧会も意義があるのではないかと思っていました。

 それで、難しそうな古美術の敷居を低くしてくれる絵巻がないか、と考えた時に思いついたのが、動物たちが楽しく遊ぶ《鳥獣戯画》だったんですが、実はこの作品をテーマにした展覧会って意外に開催されていないんです。というのは《鳥獣戯画》は、各館からのリクエストがあまりにも多く、いったん貸し出しを認めてしまうとキリがなくなってしまうので、貸し出しがとても制限されているんです。そういったこともあって、初めは「たぶん、ムリだよ」と言われたんですが、開館記念展でなければこんな恐れ多いリクエストができることもないだろうし、イチかバチかトライしてみよう、それで、作品を貸し出してもらえなかったらこの展覧会自体をなしにしようというところから、貸し出し交渉を始めました。

 その結果、すべての条件をクリアして、展覧会ができるかな、と確信が持てたのはその1年半後ぐらい。その間に、「もうダメかもしれない」と思うことは何度もあり、今思い出しても一喜一憂の日々だったんですが、関係者の皆さんのご理解を得て、何とか展覧会の開催にこぎ着けることができました。

《鳥獣戯画》のナゾ

 さて、先ほど、《鳥獣戯画》は「敷居が低い」と言いましたが、研究者に言わせると、この作品は、皆さんがニコニコ笑って見ているほどには、やさしいものではなく、本当にナゾの多い絵巻なんです。

国宝 《鳥獣人物戯画絵巻 甲巻》(部分) 平安時代(12世紀) 高山寺蔵

国宝 《鳥獣人物戯画絵巻 甲巻》(部分) 平安時代(12世紀) 高山寺蔵


 まず、《鳥獣戯画》についてご説明しますと、一番よく知られているのが、ウサギやカエルが相撲を取るなど擬人化された動物たちが描かれている甲巻。そして、馬や鶏など身近な動物から、麒麟のような想像上の動物まで様々な動物が描かれている乙巻、前半に人間が後半に擬人化された動物が出てくる丙巻、そして、曲芸や流鏑馬(やぶさめ)などをする人間を非常にラフなタッチで描いた丁巻で成り立っています。これらは、平安時代から鎌倉時代に、様々な筆者によって描かれたと考えられているのですが、他の絵巻のように詞書がないために、テーマは何なのかということも分かりませんし、誰が、何のために、何という絵師に描かせたのか、ということも分かっていません。

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