ロレーナ・オチョアが全英女子オープンで優勝するまでにメジャー23試合で悔し涙を飲んだのに対し、かつて「無冠の帝王」と呼ばれ続けたフィル・ミケルソンは、アマチュア時代を含めメジャー46試合で勝負の神様に見放された。しかし、47試合目となった2004年マスターズで初メジャータイトル獲得。05年は全米プロ、06年は再びマスターズで優勝し、瞬く間にメジャー3勝を達成した。
だが、昨夏、ウイングドフットで開催された全米オープンで勝利を目前にしながら72ホール目にダブルボギーで自滅。思わず口を突いた「I am such an idiot.(オレはなんてバカなんだ)」という言葉は、皮肉な名言としてゴルフ史に刻まれた。
あの日から丸一年の歳月を雪辱のために費やしたミケルソン。厳しいトレーニングで体重を落としながら筋肉強化を図り、今年は長年のコーチだったリック・スミスを解雇して新コーチのブッチ・ハーモンと猛特訓を行なった。全米オープン1カ月前の5月にはオークモントに乗り込み、綿密な練習ラウンド。2週前のメモリアルトーナメントでは「全米オープンは僕が勝ってしかるべき大会」と豪語した。それなのにメモリアル初日の11番ホールを終えて途中棄権。「オークモントでバンカーやラフから出すショットを練習しすぎて左手首を痛めたようだ」。
まるで、遠足を楽しみにしていた小学生が興奮しすぎて発熱し、遠足に行けなくなっちゃったというような話。「キミはなんてバカなんだ」というフレーズがメディアセンター内の流行り言葉になったほどだが、当の本人は神妙な面持ちでこう言ったのだ。
I guess this is part of the deal.
(これも、乗り越えなければならないコトだ)
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