「米国ゴルフツアー “たった一言”ストーリー」

乗り越えなければならないこと

I guess this is part of the deal. ― フィル・ミケルソン

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2007年11月22日(木)

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フィル・ミケルソン

I guess this is part of the deal.

― フィル・ミケルソン

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(写真:田辺 安啓)

 ロレーナ・オチョアが全英女子オープンで優勝するまでにメジャー23試合で悔し涙を飲んだのに対し、かつて「無冠の帝王」と呼ばれ続けたフィル・ミケルソンは、アマチュア時代を含めメジャー46試合で勝負の神様に見放された。しかし、47試合目となった2004年マスターズで初メジャータイトル獲得。05年は全米プロ、06年は再びマスターズで優勝し、瞬く間にメジャー3勝を達成した。

 だが、昨夏、ウイングドフットで開催された全米オープンで勝利を目前にしながら72ホール目にダブルボギーで自滅。思わず口を突いた「I am such an idiot.(オレはなんてバカなんだ)」という言葉は、皮肉な名言としてゴルフ史に刻まれた。

 あの日から丸一年の歳月を雪辱のために費やしたミケルソン。厳しいトレーニングで体重を落としながら筋肉強化を図り、今年は長年のコーチだったリック・スミスを解雇して新コーチのブッチ・ハーモンと猛特訓を行なった。全米オープン1カ月前の5月にはオークモントに乗り込み、綿密な練習ラウンド。2週前のメモリアルトーナメントでは「全米オープンは僕が勝ってしかるべき大会」と豪語した。それなのにメモリアル初日の11番ホールを終えて途中棄権。「オークモントでバンカーやラフから出すショットを練習しすぎて左手首を痛めたようだ」。

 まるで、遠足を楽しみにしていた小学生が興奮しすぎて発熱し、遠足に行けなくなっちゃったというような話。「キミはなんてバカなんだ」というフレーズがメディアセンター内の流行り言葉になったほどだが、当の本人は神妙な面持ちでこう言ったのだ。

I guess this is part of the deal.
(これも、乗り越えなければならないコトだ)

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著者プロフィール

舩越 園子(ふなこし そのこ)

在米ゴルフジャーナリスト。早稲田大学政経学部卒業後、広告代理店勤務を経て、独立。1993年渡米。ロサンゼルスを拠点に米国のゴルフ界を取材し続け、日本の新聞・雑誌等へ幅広く執筆中。



このコラムについて

米国ゴルフツアー “たった一言”ストーリー

米国のプロゴルフ界を取材しながら常々感じていることがある。それは、大物選手ほど簡単な言葉で奥深い話をするということだ。奥深いと言っても、哲学めいた小難しい話をするわけではない。選手が口にした一言に、その選手のバックグラウンドや素顔を重ね合わせて咀嚼すると、なるほどと頷ける何かが浮かび上がる。その「何か」は我々の人生にもあてはまり、ときには「目からウロコ」のような効果さえ発揮してくれる。そんなとき、その一言に感激し、その選手の大物ぶりにあらためて脱帽させられるのだ。

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