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打率2割で儲けが出る!~『「フラガール」を支えた映画ファンドのスゴい仕組み』
岩崎明彦著(評:栗原裕一郎)

角川SSC新書、720円(税別)

  • 栗原 裕一郎

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2007年11月27日(火)

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「フラガール」を支えた映画ファンドのスゴい仕組み

「フラガール」を支えた映画ファンドのスゴい仕組み』岩崎明彦著、角川SSC新書、720円(税別)

 「フラガール」はみなさんご覧になったでしょうか。いやあ、すばらしい映画でしたね。まだという方はこの機会にぜひ。

 昭和40年の福島県いわき市が舞台。時代の趨勢に押され常磐炭鉱の縮小を余儀なくされたかの市が、観光地としての再建に賭け、常磐ハワイアンセンター(現スパリゾートハワイアンズ)を成功させるまでを描いた、実話にもとづく作品である。

 いかにも地味な題材であり、おまけに製作配給ともに独立系、プロモーションにもあまりカネをかけておらず、ヒットの方程式にかなう要素はおよそ皆無にちかい。

 にもかかわらず、「フラガール」は、日本アカデミー賞最優秀作品賞をはじめ2006年度の映画賞を総なめし、興行収入も15億円という、独立系配給としては異例の大ヒットを記録した。

 個人的には、ラストのダンスのあと、涙でグショグショに崩れた蒼井優をそのままブサイクに映していたことに驚嘆した。あの、蒼井“わが心の天使”優をブスく撮るなんてちょっと考えられない事態だ。それなのに美しい、というあたりにこの映画の底力を見た気がした……んだけど、彼女について書いているとそれだけで紙幅を使いきってしまいかねない(笑)。賞賛の声はちょっとググればたくさん見つかるので、映画評はこのへんにして。

 さて、本作品には、映画批評の文脈ではあまり取り沙汰されない側面にも、特筆すべき特徴があった。

 「フラガール」は、映画ファンドと呼ばれる金融商品、「シネカノン・ファンド第1号」により調達されたおカネで作られた映画なのだ。

 本書は、このファンドを組成したファンド・マネージャーみずからが、「フラガール」を題材に、映画ファンドとは何かについて解説したものである。

 映画ファンド。ここ数年、注目を集めているコンテンツ・ファンドの一種だが、映画ファンやマニアなんて趣味人はゼニカネには無頓着と相場が決まっている。初耳という人も少なくないのではないか。

20作品を対象にするのがこのファンドのミソ

 といっている自分もこの方面はめっぽう疎い。そもそも運用しようにも資産がないのだが、それはそれとして、勉強がてら読んでいってみることにしたい。

 「シネカノン・ファンド第1号」は、昨2006年2月、ジャパン・デジタル・コンテンツ信託株式会社(JDC)が、映画製作配給会社シネカノンと組み、日興コーディアル証券を通じて売りだした著作権信託で、46億円という、映画ファンドとしては史上最大規模の集金に成功した。JDCは、著者の所属する、わが国で初めてのコンテンツに特化した信託会社である。

 ただし、「フラガール」だけへの出資を募ったわけではない。シネカノンが製作あるいは買付する映画約20作品が対象となっている。この“複数作品を対象とした”点がこのファンドのキモのひとつで、後述するけれど、つまりポートフォリオが組まれているわけだ。

 数年前ちょっと話題になったアイドル・ファンドもJDCの企画で、著者もかかわっていた。

 決算報告を見ると、絵に描いたようなハイリスク、ローリターンである。もっとも、一口5万円と少額だし、「彼女たちの夢に対して投資を行う」ファン活動の延長線上という位置づけであったことを考えれば、そう悪い娯楽ではない。

 シネカノン・ファンドは、アイドル・ファンドに比べ、金融商品としてはるかに高い完成度のものとなっている。額面も一口2,000万円。お遊びで手を出せる域ではない。

 「著作権信託」であるという点でも注目されている。映画ファンドはこれまでもいくつかあったが、初の個人向け映画ファンドとして話題になった、2004年松竹の「忍 SHINOBI」ファンドを含め、多くは匿名組合方式が採られていた。というより、投資信託にはできなかったのだ。

 著作権信託が可能となったのは、2004年12月に改正信託業法が施行されたからである。第1弾は05年3月の松竹「阿修羅城の瞳」ファンド。やはりJDCが手掛けた。

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