フィル・ミケルソンは14年に及ぶ「無冠時代」の末、メジャー出場47試合目、マスターズ出場12試合目で、やっとメジャーチャンプになったが、今年のマスターズで優勝したザック・ジョンソンはメジャー出場12試合目、マスターズ出場わずか3試合目でグリーンジャケットを手に入れた。
ジョンソンはアメリカの“草の根ツアー”であるミニツアーや二軍のネイションワイドツアー時代から、その名を轟かせていたパットの名手。2003年のネイションワイドツアー賞金王となって翌年のPGAツアー出場権を獲得したときは「ついに、アイツがやって来る」と選手たちが身構えたほどだ。
だが、そんなジョンソンの経歴を事前に知っていたのは米メディアの中でも一部のみ。それゆえ、マスターズでのジョンソン勝利を報道した記事のトーンは2つに分かれた。ジョンソンを熟知していた記者は「勝つべき選手が勝った」とうたい、彼の名前すら聞いたこともなかった記者は「伏兵の勝利」と書いた。
大物の卵が順当に孵化して大物になったのか。それとも、小物がたまたま大物の真似事をしたのか。それは、さておき、最終ラウンド開始時点でジョンソン勝利を予想したメディアがほとんどいなかったことだけは確かだ。
マスターズでは「最終日最終組の選手が優勝する」というジンクスが16年間も続いていた。そして、今年の大会で最終日最終組にいたのはタイガー・ウッズ。後ろから3組目でスタートするジョンソンが、そんなジンクスを破り、タイガーを抑えて逆転優勝するとは誰も予想すらしなかったのである。
優勝会見の席上、こんなダイレクトな質問が飛んだ。「メジャー最終日に最終組のタイガーを負かすなんて大それたことをキミはどうやってやってのけたのか?」。ジョンソンは、こう言った。
They say a giant has to fall at some point.
(大物は、いつか落ちるものでしょう?)
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