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あの横綱は、もう大丈夫?~『解離性障害』
柴山雅俊著(評:島村麻里)

ちくま新書、700円(税別)

  • 島村 麻里

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2007年12月5日(水)

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評者の読了時間6時間15分

解離性障害――「うしろに誰かいる」の精神病理

解離性障害――「うしろに誰かいる」の精神病理』柴山雅俊著、ちくま新書、700円(税別)

 読了時間が長いのは、本書が難解だったからではない。あまりに内容が濃く、繰り返して3回、読んだのである。

 わたしの後ろにだれかいる――。

 上のほうから自分の全身を見下ろすもうひとりの自分がいる――。

 読者のみなさんは、こんな思いにかられたり、だれかにそう訴えられたことはないだろうか?

 解離性障害の人には、そのような症状がしばしばみられるという。臨床に長年かかわる精神科医が、治療者というよりは、当事者の視点で、この病に迫った。

 精神科の臨床場面では、90年代半ば頃から解離の病態が目立つようになっており、著者の経験によれば、患者の約8割が20代後半から30代の女性だとか。さらに、いわゆる健忘や多重人格といった古典的な病態だけでなく、多彩な症状を呈するケースが増えたという。

 たとえば解離の人たちは、次のような「主観的体験」をする。

安心できない世界で生き延びるために

 「離隔」(傍観者のように、離れたところから世界や自分を見ているといった感覚、など)や「気配過敏症状」(後ろにだれかがいる、など)をはじめ、「対人過敏症状」(人込みが怖い、など)に「表象幻視」(過去の記憶や想像などが、ありありと目の前に浮かぶ、など)、「体外離脱体験」(上のほうから自分を見下ろしている、など)……。他にも、自分を呼ぶ声が聴こえる、目の前を影がさっと横切る、などといったさまざまな体験がある。

 また、解離の人たちは小さい頃から空想活動をしていることが多く、「想像上の友人」を持っていたりするという。後日、そのような幼少時の「友人」や、幼い頃の自分自身が、「交代人格」として表れたりもする。

 解離性障害には、幼少時に受けたなんらかの外傷(性的外傷、虐待、育児放棄、いじめなど)が影響していることが多いが、外傷を受ける側の要因も看過できないと著者はいう。同じように傷ついても、深く影響される人とそうでもない人がいるからだ。

 家庭にせよ学校にせよ、安心できる居場所の喪失。これが、解離性障害の外傷に結びついていると著者は見ている。

 居場所を喪わせる相手というのは、親や級友など、患者の側が親密さを求める対象でもあるために、自分が受けた傷をかれらとの関係で癒すことができず、たとえば空想に没入したり、別の人格を登場させたりすることで生き延びようとする、ということのようだ。

 以下は、子どもの頃から体外離脱を経験しているという32歳・女性の話である。

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