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岡田嘉子(2)~女ひとりで監禁生活を乗り切る

『岡田嘉子 悔いなき命を』人間の記録シリーズ、日本図書センター刊、1800円(税別)

  • 松島 駿二郎

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2007年12月14日(金)

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 岡田嘉子は『大地は微笑む』という映画で大評判をとって、名実ともに日本を代表する個性派、知性派映画女優としての地位を確立した。

 その後、『椿姫』撮影の途中で、監督との意見が合わなかったこともあり、主演の竹内良一と2人で失踪してしまう。この駆け落ちは、日本の映画界に大スキャンダルを巻き起こした。まるで「映画のストーリーを地でいく」と評した新聞もあった。

 でもこの事件をきっかけに気まぐれ女優という嘉子に対する定評ができ上がった。使いにくい女優となり、ほとんど映画界から放逐されてしまう。というのも嘉子が突出して「自由な女」を実践していたからだ。

 嘉子が活路を見出したのは演劇界だった。井上正男一座に加わり、舞台出演に夢中になった。そんなときに出会ったのが、杉本良吉だった。かれは共産主義者で、ロシア語にも通じていた。左翼に対するファッショ政府の弾圧は激しく、杉本も、拘束されて獄中に一年を送った経験を持っていた。

 嘉子はたちまち杉本に夢中になった。
 そして、

 「いっそソビエトにでも行ってしまおうか」

 という考えを実現するに至った。ソ連と日本に国交はない。情報も完全に途絶えたままだ。ソ連に行くには密入国しかない。考えあぐねた末に、思いついたのが、樺太にある日ソ国境を密かに渡って、ソ連に入るという手段だった。

 上野から青森までの夜行列車が旅の始まりだった。青森からは連絡船で函館に渡る。そのまま旭川まで行って1泊。北海道から樺太までは船がある。南樺太の豊原で1泊。宿の人にはアイヌ芝居をやるのでと説明して、一路北上、鉄道の終点敷香に到着した。

 一面真っ白の雪野原。国境がどうなっているのかもさっぱり分からない。警察署長にアイヌの家を訪れるのだといって馬橇を調達してもらう。ここまでは完全に合法的。

 でもここから一歩踏み出せば、日本では非合法となる。2人は躊躇せず、非合法を選び馬橇上の人となった。
 そして、馬橇から飛び降り、夢中で雪道を歩いて、ついに国境を越え、ロシアに到着した。

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