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第9回 墨汁一滴

言葉の内容に想いをめぐらせ、筆触を楽しむ

  • 奥本 大三郎

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2007年12月11日(火)

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 今まで硯の話ばかりしてきて、墨汁はいけない、墨汁はいけないと繰り返したが、実を言うと、私自身は墨汁というものは使ったことがなかった。

竹節硯(ちくせっけん) 歙州石(きゅうじゅうせき) 清代 縦18.8×横6.1×厚さ1.7センチ

竹節硯(ちくせっけん) 歙州石(きゅうじゅうせき) 清代 縦18.8×横6.1×厚さ1.7センチ

 しかし古いのが一壜というか、プラスチックのボトルに入ったのが、机の抽出しに仕舞ってある。娘が小学生の時、お習字の時間に使った残りである。娘はこれとは別に安物の硯も買わされていたから、ひょっとすると、硯に墨汁を垂らして用いていたのかもしれない。

 棄ててしまえばよいものを、そのまま不燃ゴミにするのか、それとも中身を洗面所か便所にでも流してから棄てるのか迷ったし、それにやっぱりもったいないから何となくそのままにしてあったのがまだ残っているわけである。

 キャップを取って白い磁器の皿にとろりと注ぐと、化学薬品の匂いがツンと来た。小学生に使わせるぐらいだから安物なのであろう。液体の色はあくまでも黒い。

 筆を浸そうとして「待てよ」と思った。大事な筆にこんな液を滲(にじ)ませて、筆が乾いたときにごわごわになるとか、洗っても色がとれない、などということになったらどうしよう、と考えたのである。

 それで、駄目になっても惜しくない筆を使うことにした。つい最近、インターネットのオークションでひどく安い値で競り落とした、文房具屋の古い在庫整理品という筆である。太い筆に、昭和三、四十年代ぐらいの値が貼り付けてある。少し使うと毛が抜けてくる安物であるから、これなら墨汁が染み付いても惜しくはない。

 紙も、もちろん安物と、何もかもどんどん品質が落ちてくる。

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