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体にいい「仮説」は飲み込みすぎに注意~『あやしい健康法』
竹内薫・徳永太・藤井かおり著(評:三浦天紗子)

宝島社新書、740円(税別)

  • 三浦 天紗子

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2007年12月17日(月)

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あやしい健康法

あやしい健康法』竹内薫・徳永太・藤井かおり著、宝島社新書、740円(税別)

 ちょっと古い話になるが、自殺した松岡前農水相が、国会の答弁で語った「ナントカ還元水」。適当な言い逃れをするな、と怒りを覚えた一方で、もし本当にあるのなら、体によさそうな水だしちゃんと銘柄を教えてちょうだいな、一度飲んでみたいからさー、と私は思った。

 誰だって「体にいい」と言われるものは試してみたいし、「体に有害だ」と言われるものは遠ざけたい。健康食品、嗜好品、健康法、健康器具、生活習慣、エクササイズ……。巷には健康になるための情報があふれている。

 医師やスポーツインストラクターなどの専門家がみな信憑性たっぷりにそれぞれの効果を語るので、私のようなシロウトには正直、真偽の判断がつきかねるものも多い。だが、そこは不老長寿を願う人間の悲しさ。「効きそう」と思っては、きょうも新しい健康アイテムに手を伸ばしている人がいるのではないだろうか。

 実は世間に流布されている健康法には“仮説”の域を出ていないものもすいぶんある。本書は、そうしたボーダーライン上の健康学説を、3人の専門家が検証していくものだ。3人の内訳は、科学作家として多くの著書を持つ竹内薫氏、精神科病院勤務の医師・徳永太氏、ヨガとマタニティービクスを専門とするインストラクター・藤井かおり氏。

ミネラルウォーター「類」ってなんだ?

 水については、真っ先にページが割かれている。水質には絶対の自負があった日本でも、飲料用には、いつのまにかミネラルウォーターが水道水に取って代わってしまった。だが、農水省のガイドラインに照らし合わせてみれば、いま流通しているミネラルウォーター「類」は、ミネラルが含まれているかどうかがわからなくてもそう表示していいらしい。消費者にすれば盲点としか思えないポイントを、竹内氏は衝いてくる。

 たとえば、特定の水源から地下水を汲み上げて、沈殿、ろ過、加熱殺菌以外の処理をしていない水は、正確には「ナチュラルウォーター」に分類されるが、その水は、販売店の「ミネラルウォーター」の棚に置いていいことになっている。

 大抵の井戸水などにはミネラルが含まれているから不当表示ではないにせよ、もしその水のミネラル含有量がごく微量だとしても、そうして採水されたものなら「ミネラルウォーター」を謳っていいというわけだ。一消費者の立場で見れば、そうした厳密さのカケラもない分類はいまひとつ解せない。

 加えて、そもそもミネラルウォーターがふつうの水道水に比べてどう体にいいのか。その科学的な議論は置いてきぼりで「ミネラルウォーターだから安心」などとありがたがるのはいかがなものか、というのが竹内氏の弁である。

 竹内氏もミネラルウォーター愛飲派らしいが、健康のためではないと明言している。

〈どうして私はミネラルウォーターを飲んでいるのかといえば、それは、特定のブランドに信頼をおいて、そのブランドのミネラルウォーターが「気に入っている」からなのです。それは、科学の問題ではなく、竹内薫という個人の好みの問題にすぎません〉

 もっとも、個人の好みですまない“あやしい”水ビジネスが横行しているのも事実。本書によれば、活性水素水、マイナスイオン水、クラスター水、アルカリイオン水、及びそれらの製水器には、健康効果について何の科学的根拠もないらしい。左巻健男氏も『水はなんにも知らないよ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)で直言していたが、水は有害性が薄い分、ビジネスになりやすいのだろう。

コメント1件コメント/レビュー

健康指導に従事していて、こういう「なんとか健康法」をよく聞かされた。ほとんどが仮説というが、科学はそもそもみんな仮説である。確からしい、と信じて量子力学も相対性理論も仮説のうえに成立している。何十兆もの細胞が集まり、精神活動もおこなっている人間の肉体はきわめて精巧な仕組みで動いている。「これだけが正しい」というものはない。科学的に、と考える人であればあるほど、その矛盾に落ち込んでいくに違いない。今の科学が人体の仕組みを完全に解明しているわけではないからだ。健康法は、自分にとってよさそうだと思うことを続けたらいい、というのが一番的確なアドバイスではないか。隣の人の身体にあうことがそのまま自分にあてはまるとは限らない。そもそも医学的に認められた薬が効くかどうかすら、個人差が大きい。健康を論じる科学者もそれぞれその信じる学説が異なっているという現実がある。健康法は信仰に近いと思う。不安だから何かにすがりたい、だから信じられるものを求めてさまよう。確信はどこにもない。健康の免罪符など無いのだ。他人に害を及ぼさない限り、何を信じ実行しようとそれはその人の自由であり、他人があれこれいうことではない。そして、不安は不安のままに生きていく、明日のことはわからない、と覚悟を決めることが大事だろう。いつまでも生きていたい、生きられるという幻想にすがるのが最もあほらしいことだ。(2007/12/17)

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健康指導に従事していて、こういう「なんとか健康法」をよく聞かされた。ほとんどが仮説というが、科学はそもそもみんな仮説である。確からしい、と信じて量子力学も相対性理論も仮説のうえに成立している。何十兆もの細胞が集まり、精神活動もおこなっている人間の肉体はきわめて精巧な仕組みで動いている。「これだけが正しい」というものはない。科学的に、と考える人であればあるほど、その矛盾に落ち込んでいくに違いない。今の科学が人体の仕組みを完全に解明しているわけではないからだ。健康法は、自分にとってよさそうだと思うことを続けたらいい、というのが一番的確なアドバイスではないか。隣の人の身体にあうことがそのまま自分にあてはまるとは限らない。そもそも医学的に認められた薬が効くかどうかすら、個人差が大きい。健康を論じる科学者もそれぞれその信じる学説が異なっているという現実がある。健康法は信仰に近いと思う。不安だから何かにすがりたい、だから信じられるものを求めてさまよう。確信はどこにもない。健康の免罪符など無いのだ。他人に害を及ぼさない限り、何を信じ実行しようとそれはその人の自由であり、他人があれこれいうことではない。そして、不安は不安のままに生きていく、明日のことはわからない、と覚悟を決めることが大事だろう。いつまでも生きていたい、生きられるという幻想にすがるのが最もあほらしいことだ。(2007/12/17)

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川野 幸夫 ヤオコー会長