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オジサンも、他人事じゃないぜ~『思春期ポストモダン』
斎藤環著(評:山本貴光+吉川浩満)

幻冬舎新書、740円(税別)

  • 山本 貴光, 吉川 浩満

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2007年12月20日(木)

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評者の読了時間2時間30分

思春期ポストモダン 成熟はいかにして可能か

思春期ポストモダン 成熟はいかにして可能か』斎藤環著、幻冬舎新書、740円(税別)

 犯罪の若年化、教養崩壊、パラサイト・シングル、ひきこもり、ゲーム脳、ニートだなんだと嘆き、現実と仮想の区別がついてない、徴兵制度で鍛えろ……云々。

 大人はこれぞ特権と言わんばかりに(自分の若かりし頃は棚に上げて?)「近頃の若者ときたら」とボヤいてみせる。

 といっても、若者へのレッテル貼りはいまに始まったことではない。少し時計を巻き戻してみれば、「太陽族」やら「しらけ世代」やら「新人類」(人類という単位での大断絶があったのか!?)といった言葉が次から次へとあらわれては、メディアによる増幅を受けて、時代時代の若者に一定のイメージを与えてきたことがわかる。いつの世にも若者いじりの種は尽きまじ、である。

 斎藤環氏は、現代に横行するそんな若者論を典型的な「ニセの問題」だと診断する。なぜならそうした議論は、当の若者を対話不可能なエイリアンとみなすことで成立する一方的な想像の産物に過ぎないからだ。そうやって決めつけることは、非難する人びとのストレス発散にはなっても、若者の理解、ひいては現代社会の理解に資することは少ない。

 ちなみにここでの「若者」とは、子どもから大人への移行期とされる思春期・青年期を指している。

 本書は、そうした俗流若者論とは一線を画す、臨床的若者論である。家庭や社会で日ごろ若者と交わる機会をもつ人はもちろんのこと、若者と接する機会が少なく空想で補完して済ませている人にこそ手にとって欲しい一冊だ。

 精神科医として治療に携わる筆者が注目するのは、現代の若者が抱えているさまざまなこころの問題である。とりわけ本書で俎上に載せられるのは、ひきこもり、境界性人格障害(境界例)、解離性障害、拒食症、登校拒否など、いずれも「これでバッチリ解消」という一般的な対処法がない困難な問題ばかり。

ひきこもりの問題は、本人・周囲そのものにはない

 たとえば、ひきこもりについては、2000年に起きた新潟県の少女監禁事件や佐賀県のバスジャック事件の犯人がひきこもり歴を持っていたと報道されてこの方、犯罪予備軍であるかのようなイメージが与えられたり、ただの怠けではないかといった精神論による「解釈」がなされたりしている。俗流若者論者にとって、ひきこもりは若者を論じるための格好の材料のひとつだろう。

 では、斎藤氏はこれをどう見ているのか。

 まず、ひきこもりとはどのような状態かを本書の定義で確認しておくと〈(自宅にひきこもって)社会参加をしない状態が6カ月以上持続しており、精神障害がその第一の原因とは考えにくいもの。ただし「社会参加」とは、就学・就労しているか、家族以外に親密な対人関係がある状態を指す〉とある。

 注意しなければならないのは、これは病名や診断名ではないということだ。つまりひきこもりとはいまのところ、病気とは言いがたいけれども、健康とも言いがたい或る状態に与えられた名称なのである。

 なぜこのような状態が生じてしまうのか。それが問題だ。

 こうしたケースでは、ともするとひきこもっている本人に問題があり、これを「治療」する必要があるのではないかと思いそうになる。

 だが、これについて筆者はじつに興味深い事実を指摘している。

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