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なぜ過疎地の再生を願うのか

新潟県・松之山【6】

  • 宮嶋 康彦

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2007年12月20日(木)

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 携帯電話から聞こえる戸邊秀治さんの声は嬉しそうだった。

 「とてもいいことが起こりそうなんです」

 松之山で米作りを通して、農業体験をカリキュラムに取り入れている専門学校から吉報が届いたというのだ。新潟市内に2006年に開校した国際調理製菓専門学校が、昨年から続けている松之山での「食育」実習を、2008年度からさらに発展した形にしていきたい、と構想しているらしい。

 「ゆくゆくは、繁(滝沢)さんや直栄(高橋)さん宅など、生産者の家に泊まりこんで、農的生活を実践したいと相談を受けました。今年は40人だった学生が来年は100人ほどやって来ることになりますよ。もちろん、無農薬、人力の米作りが趣旨の基本です。ゴミ拾いなど環境美化もしたいと言いますから、ぜひ協力したい」

 戸邊さんの弾んだ声の奥に、松之山の美しい棚田風景が浮かんだ。人手を欠く大規模農家や高齢で耕作困難になった農家に、若者たちが同じかまどの飯を食べながら、額に汗をする光景を思い描いてみた。それは過疎が極まった集落には奇跡的な出来事ではないか。

 この10月、戸邊さんに出会った日、稲刈りをしていた専門学校の若い集団が思い出された。へっぴり腰の女性副校長や作業に疲れた学生の表情、怒気をはらんだ戸邊さんの声…。

 しかし、みんな好感が持てる若者たちだったと振り返ることができる。戸邊さんの叱咤にめげず、稲刈りにも餅つきにも、将来のコックたちは実に真面目に取り組んでいた。彼や彼女たちなら、きっと松之山の力になるだろう。戸邊さんの朗らかな声に、こちらも気分が良くなった。

過疎の集落に集まる若いパワーに期待

 さっそく学校側の意向を聞いてみた。実習を担当する伊藤隆志さんが話す。

 「若いパワーだけが取り得といいますか、学生の力を借りれば、松之山でお役に立てるかもしれません、何よりも、将来、食に携わる学生たちが、素材の生産現場で実体験を持つということが、大きな財産になると思います。戸邊さんや松之山の人たちに教わりたいと考えています」

 前回紹介した松之山の大規模農家、滝沢農園を経営する滝沢繁さんは、当初、「実習用の田を1反か2反、提供してもいい」と言っていた。ところが、戸邊さんが計画の詳細を説明した段階では「5反でも提供できる」と、積極的な協力を約束してくれたというのだ。

 松之山の農的風景の喪失に胸を痛める、高橋直栄さん(元新潟県立安田高校校長)も、専門学校とのシェアリングに諸手を挙げて賛成する。この秋、自分の田んぼの稲刈りを学生に手伝ってもらったという経緯もあって、日頃は生クリームやメレンゲを泡立てている若者たちに鍬や鎌を持ってもらい、共に米作りをすることに大きな期待を寄せている。

 「大変ありがたい話で、学生の受け入れについては、こちらも丁寧でなければ、と話し合っています。これが地域再生の問題提起となってくれるのではないかと、単なる労働力だけではない様々な期待感が高まります」

コメント17件コメント/レビュー

田舎と農家は違うがもう少し何を言いたいのか具体的に話してもらいたい。井戸端会議的な話で良ければこの程度で良いのかもしれない(2007/12/31)

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いただいたコメント

田舎と農家は違うがもう少し何を言いたいのか具体的に話してもらいたい。井戸端会議的な話で良ければこの程度で良いのかもしれない(2007/12/31)

もはや日本に棚田のような不効率な農作を維持する力はありません。無理な米価維持による負担は将来の日本に禍根を残すだけです。棚田が生き残るには、その観光的資源を活かすほかにないはずです。決して‘感情’だけでは独立した再生はしないはずです。補助金に頼らず、米価維持に頼らず、農家だけの足で立てますか?工業は猛烈な国際競争にさらされています。これまでは農業をおんぶできたかもしれませんが、これからさき工業も余裕はないのです。感情論より経済論を聞きたい物です。(2007/12/31)

農村に住む者です。私はコンピュータソフトウェア関係の仕事に従事し、農業は実家の稲作を手伝うくらいです。農村に住むということを趣味とかライフスタイルみたいなもので語られるのは嫌です。住むということはその共同体に貢献しかつ助けられているという関係を機能として持つことだと思います。過疎というのは単に人口の問題ではなく、この機能を失った共同体になっているということだと思います。そういう意味では日本全国どこも過疎なのでは?再生するとしたら共同体としてその機能をとり戻そうとしている人たちを応援したいです。(2007/12/28)

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