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老人が〈自分探し〉をする時代
~『暴走老人!』著者・藤原智美氏【その1】

2007年12月25日(火)

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「暴走老人!」

 いまどきキレやすいのは、若者とは限らない。病院で薬剤師に殴りかかる。銀行で、怒鳴る。コンビニでチェーンソーを振り回すなど、公衆の面前で理解不能の行動に及ぶ老人たちに着目したのが、いま話題の『暴走老人!』(文藝春秋)。著者は『「家をつくる」ということ』などで知られる作家の藤原智美氏だ。

 『暴走老人!』は、今年8月に出版された。メディアでの紹介と口コミでタイトルの「暴走老人」は流行語となりつつある。増刷を重ね本は7刷に達している。

暴走老人!
藤原智美著、文藝春秋、1000円(税別)

 藤原さんは、著書が注目されているのは四文字熟語のインパクトにあるとみている。電車に乗っていると、話し声が聴こえきた。「うちの暴走老人が……」自分の書名が見知らぬ人の会話の中に出てくるのは初めての体験。会話の主たちは、会社の上司のことを指して話していた。

 「でも、どうも、タイトルがひとり歩きしているという感じはある。というのも、読んでもいないのに、本について批判する人がいるんですね。

 NHK教育テレビの『視点・論点』で話をしたんですが、すぐに視聴者からのメールが送られてきた。放送の途中で文章を書き始めたとしか思えない速さなんです。

 僕は、『エスカレーターは、関東では左側で待つという暗黙のルールがあるけれど……』と話をしていた。そのあとを聞かずにパソコンに向かったんでしょう。『弱者に対する配慮がない。おまえみたいなものは……』と攻撃調で文章を書き連ね、この著者は効率優先主義の考え方を肯定していて、弱者や老人のことを思いやる所が見受けられない。そう断じておいて、自分がどれほど理不尽な体験をしてきたのかを書いているわけです」

 エスカレーターでは片側を急いでいる人のために開ける、駅のトイレではYの字待ちするなど、「透明なルール」ができあがっている。明文化されているわけではない。マナーというよりも、内面をコントロールするという意味ではルールに近い。

 知っていて当然。反すれば、非難の視線が浴びせかけられる。ルールを認知する人が多数を占めるほど、知らない人は居心地の悪い思いをさせられる。そうした「透明のルール」の存在が老人にプレッシャーを与えていると、藤原さんは番組で語った。だが、メールの主は、話の前段部分で、老人はルールを知らなくて迷惑だという主張だと早合点してしまったのだろう。「関係機関に諮って、不買運動を起こす」とまで書いてあったという。

『暴走老人!』は老人批判カタログではありません

 「読んでもらえたら納得していただけると思いますが、『暴走老人!』は老人批判のカタログ集ではないんです。自分もそうなるかもしれないという、ある種の警笛みたいなもの。人と人が関わる問題について、炭鉱のカナリアのように鋭敏に反応している存在だと思う」

 65歳以上の刑法犯が、平成元年から2007年までの間に約5倍に増えた。「老人」を取り巻く環境に変化は、どこから来るものなのか。著書の中では、自らが見聞した身近な実例をもとに、「なぜ」「どうして」と時間をかけて思考を深めている。

 「驚いたというと、若者雑誌の編集者が組んだ特集が、『暴走老人から、どうすれば身を守れるか。もう黙ってはいられない』というふうなタイトル。この感覚は30前後の人たちにはあるみたいですね。つまり、自分たちは上の世代から常に批判されてきたという意識が強い。

 批判をされても、僕らぐらいの世代は「そうはいうけれども」と切り返すなりしていた。それが、いまの30前後は、違うと思ってもナイーブに黙ってしまうんですね。だから、『よくぞ言ってくれました、もっと批判してください』と歓迎されたんでしょう」

 本をめぐって、二つの、両極端な反応が起きたことを、藤原さんは、「現代人は、自力で考えるということ、自分で思考するということが下手になってきている気がします」と受け止めている。思考する。考える。といったとき、いまはパソコンのキーボートを打ち「検索」の動作に代わりつつある。「情報を集めることが簡便になったぶん、『考える力』が弱まったのではないか」。

 「男性の場合には、定年してリタイアしてしまうと、言葉のスキルが弱まるんですよね。仕事をやっているときには、いろんな年齢層の人と話していたのが、それがなくなる。

 妻だとか、家庭内の限られた人との接触しかないとなると、言葉の力が衰弱し、人と話していない人ほど、キレやすくなる。

 言葉というのは筋肉と一緒で、常に使っていないと、力が落ちていく。しかも、その人たちがパソコンなどを覚えてしまうと、他人の意見を聞かず、いきなり、おまえの意見はけしからんというふうになるんでしょうね」

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