• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

「笑顔社会」の空気を老人がうまく読めない理由
~『暴走老人!』著者・藤原智美氏【その3】

2007年12月27日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

前回から読む)

 『暴走老人!』では、なぜ人は我慢することが下手になったのかを探っている。分岐点となるのは、ファーストフードのチェーン店が展開しはじめたころからだ。

藤原智美氏

藤原智美(ふじわら・ともみ)氏
1955年福岡市生まれ。92年に『運転士』で第107回芥川賞受賞。その後、小説創作のかたわらドキュメンタリー作品も手がける。住まいと家族関係を考察した『「家をつくる」ということ』(講談社文庫)はベストセラーに。最新刊『暴走老人!』が大ヒット中。

 「漠然と感じていた日常的な窮屈感が何なのか、これを読んで腑に落ちたという人が多いですね。このあいだ、牛丼のチェーン店で求人募集のチラシが目に留まったんです。そこで言っているキーワードは、仲間、心、ドラマ。『お店で働くというドラマに参加しませんか?』という呼びかけなんですが、仲間のふれあい、お客さんとのコミュニケーションを含めて、職場をドラマに結び付けていこうとする。

 でも、ドラマなのかなぁ。不安を感じてしまうんです。仕事の場での笑顔が、私生活の領域まで侵食していくのではないかと」

 笑顔の接客に象徴される笑顔を「感情労働」「表情管理」だとして、無理に笑顔をこしらえつづけることが個人の心にどんな負担を及ぼすのか。藤原さんは、感情を押し殺して笑顔の「仮面」をかぶり続けるのは、本来のゆたかな表情をも失いかねない重労働として、疑念を表明する。

 「日常生活において、相手のエリアに侵入しない、空気を壊さないことが大事だといわれる。店員ばかりではなく、お客のほうもレストランでは、いい客を演じ、空気を壊さないようにしてみる。それは、20年くらい前に仕事空間から始まり、じょじょに私生活の中に流れ込んできたことなんですよね」

人と会うのは、笑顔の表情管理をすること

 仕事と割り切った笑顔ならまだしも、いつしかプライベートな関係の中にまで、「対人装備」の笑顔が拡大してはいまいか。だとすると、解消されないストレスによって、突如キレる方向に弾けるのは、無理はない。

 「いらっしゃいませ、デニーズへ、ようこそ」というあの笑顔がやってきたのは1970年代。当初は、マニュアル的で人間味がないと批判する声も多かった。

 「笑顔のコミュニケーションと言うのは、相手に踏み込まないというサインなんですよね。侵入しないし、侵入してくるなということ。

 だから言葉のキャッチボールはあっても、それ以上ではない。アイスホッケーでいうと、氷の上を情報というパックが滑っていくだけ。氷の下にある、感情や思いは浮上しない。

 笑顔社会になってとまどっているのは、老人だと思います。無愛想が当たり前、不言実行がよしさとれる社会で育った人たちだけに身体として、笑顔の意味が理解しにくい」

コメント6件コメント/レビュー

なるほど、今は暴走老人という言葉があるのですね。記事を読み、70歳代になる私の父は典型的暴走老人であることが分かりました。私はまだ30歳台ですが、父と同じ性格を受けついているところがあるので、もしかすると私も暴走老人予備軍かもしれません。自分がどのように歳をとっていくものかとても考えさせられました。(2007/12/28)

「我ら、文化系暴走派」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

なるほど、今は暴走老人という言葉があるのですね。記事を読み、70歳代になる私の父は典型的暴走老人であることが分かりました。私はまだ30歳台ですが、父と同じ性格を受けついているところがあるので、もしかすると私も暴走老人予備軍かもしれません。自分がどのように歳をとっていくものかとても考えさせられました。(2007/12/28)

 私も商売をしておりますが、スタバにいるのは消費者です。コーヒー豆を消費する消費者です。コンビニにくるお客も消費者です。その際、提供者が笑顔で接客することにより、自分がただの消費者ではなくこの店の顧客になったと勘違いする消費者が時々あらわれます。自分は受け入れられているのだと。 特に男性の場合この誤解からくるトラブルや犯罪が昨今多いように感じられます。 掲載文中にて顧客と消費者の区別が曖昧だったので申し上げておきます。(2007/12/28)

はっきり言って、ここに描写されている「暴走老人」は甘えていると思います。人間は本来孤独だ、なんて口先ではえらそうにいったりするけれど、その実、ほんとうに自分自身の心で感じる覚悟も能力も無いのだろうと思います。(2007/12/27)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授