「村田真の「手が届く現代美術」」

美大を出たばかりの若手、注目の油彩

黒い背景に白い顔と髪、目と口が赤い人物を描く

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2007年12月27日(木)

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 画廊街として知られる銀座は、日本一地価の高い高級ショッピング街でもある。ということは、銀座から一歩外に出れば家賃は安くなるわけで、数年前には銀座から京橋に移転する画廊が相次いだ。ところが最近は、銀座に隣接しながらアートとはこれまで無縁だった築地や新富(いずれも中央区)にも画廊ができ始めた。その1つが、地下鉄有楽町線の新富町駅から徒歩2分、築40年ほどのビルの3階に2007年7月オープンしたばかりの「アラタニウラノ」だ。

 アラタニウラノとは妙な屋号だが、共同経営者の荒谷智子さんと浦野むつみさんの苗字をつなげたもの。荒谷さんは、西村画廊やSCAI(白石コンテンポラリーアート=通称スカイ)といった現代美術系の画廊勤務を経て、パブリックアートなどを手がける会社で働きながら銀座の小さな画廊の運営にも携わってきた。浦野さんは昨年まで約10年間、SCAIで過ごしてきた。

 2人はSCAIで出会い、意気投合して「いずれ2人で何かしたいね」と語り合ったという。その夢は10年近い年月を経て、ようやく画廊の共同経営というかたちで実現したわけだ。

オープン以来、どの個展も作品は完売状態

 画廊を始めるにあたって重要な問題は、どこに店を開くかだ。彼女たちが新富を選んだのは、足の便がよく、家賃が安かったから。銀座から歩いて10分もかからない距離なのに、家賃はざっと半額。だから10坪以上のギャラリーに、応接室を兼ねたサブギャラリー、オフィス、倉庫、トイレなどを含め26坪もの部屋を借りられたのだ。前回ご紹介したメグミオギタギャラリーもほぼ同時期のオープンだが、さすが銀座と言うべきか、ここのおよそ5分の1の広さしかない。ちなみに新富のこのビル、以前は旅館として使われていたらしい。

 彼女たちの場所探しのポイントはもう1つあった。それは文化的風情を感じさせる環境であること。これは彼女たちが過ごしたSCAIが下町情緒を残す谷中(台東区)にあり、居心地が良かったからだという。たしかに、新富には足袋屋もあれば提灯屋も残り、わずかながらも江戸情緒をしのばせる。

小西紀行「人間の家」展の展示風景。人物の白い髪と顔、のたうつような筆運びが印象に残る(撮影:清水健、以下同)

小西紀行「人間の家」展の展示風景。人物の白い髪と顔、のたうつような筆運びが印象に残る(撮影:清水健、以下同)

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著者プロフィール

村田 真(むらた・まこと)

村田 真

1954年、東京生まれ。東京造形大学卒業。ぴあ編集部を経てフリーランスの美術ジャーナリストに。北海道新聞、ウェブマガジン『artscape』などに連載するほか、『美術手帖』『読売年鑑』などに執筆。著書に『美術家になるには』、訳書に『ビジュアル美術館12絵との対話』などがある。慶応義塾大学・学習院女子大学非常勤講師のほか、横浜BankARTスクール校長を務める。



このコラムについて

村田真の「手が届く現代美術」

空前の美術ブームに沸く欧米市場に対して、日本市場はよやく底を打ち、上向きになってきたところ。最近では30代の人が現代美術作品を購入する例が多いという。どうせ買うなら、本物の美術品。アクセサリーやバッグなどのブランド品を買う喜びとはひと味違った楽しみがある。現代美術に通じた美術ジャーナリストの村田真氏に現代美術作品の見方、買い方を指南していただく。

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