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インドの壁画芸術--現代に生きる神々の肖像

  • 藤田 宏之

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2008年1月11日(金)

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 今からおよそ1500年前にインドの洞窟に描かれた壁画。これほど人々の心を動かした芸術があっただろうか。

 洞窟に入って暗闇に目を慣らしていると、やがて上半身が裸の男性の姿が浮かび上がってくる。みごとな宝冠をかぶり、かれんな蓮華を片手にもっている。まるで心の中の楽の音に合わせて体を揺らしているかのように、その上半身はしなやかな曲線を描き、目は半ば閉じられ、口にはかすかな笑みが浮かんでいる。まるで、この男性の存在そのものが、限りなく甘美な夢に浸っているように見える。



右手に蓮華をもち、神秘的な静けさをたたえる蓮華手菩薩。その穏やかな表情は、アジャンターの修行僧たちが理想とした悟りの境地を物語る。内面の気品と外面的な美を兼ね備えていることが、優れたインド美術の特徴だ。
右手に蓮華をもち、神秘的な静けさをたたえる蓮華手菩薩。その穏やかな表情は、アジャンターの修行僧たちが理想とした悟りの境地を物語る。内面の気品と外面的な美を兼ね備えていることが、優れたインド美術の特徴だ。

 インド中部のアジャンターに石窟寺院が築かれはじめたのは、紀元前2世紀から紀元後1世紀のことで、5世紀後半から6世紀にかけて最盛期を迎えた。その頃に描かれた壁画のなかでも、ひときわ目を引くこの蓮華手菩薩像は、無限の慈悲を象徴する観音菩薩の1つだ。

 地方都市オーランガーバードから車で1時間。ワゴーラー川の渓谷を見おろす高台に出た。黒褐色の玄武岩の表面には、いにしえの人々が掘った30の石窟がある。列柱と彫像が立ちならぶ寺院の正面は、壮麗な外観だ。

 アジャンター石窟寺院のぜいを凝らした造りは、当時の王の財力を物語っている。石窟の多くは5世紀半ば、インド中部の広域を支配したハリシェーナ王の時代に造られ、数百人もの僧侶が修行生活を送っていたという。

 大半の石窟の内部には、礼拝用のチャイティヤ窟(祠堂)と、修行僧が生活するヴィハーラ窟(僧坊)がある。中央には周囲を柱で囲まれた広間があり、その奧の仏堂には今でも仏像が鎮座している。外回廊に沿って並ぶ修行僧の部屋は、石造りの寝床があるだけの簡素な造りだ。寺院内には荘厳で敬虔な雰囲気が満ちているが、壁に目をやると印象は一変する。

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