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今なぜ竜馬なのか――富国ということ

津本陽著『商人龍馬』

  • 川嶋 諭

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2008年1月10日(木)

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商人竜馬

日本経済新聞出版社、定価1600円(税抜き)

 2007年12月、坂本竜馬が没して140年を迎えた。その節目に当たって著者は「志士としての竜馬ではなく、商人としての竜馬を描きたかった」と執筆の動機を語る。

 海外との通商によって国を豊かにすることを夢見ていた竜馬は、幕末期のほかの志士たちとは随分と違った考え方を持っていた。倒幕でも佐幕でも、攘夷だろうが開国だろうが、新しい国を作ろうということでは共通していた。

 しかし、意見の違う相手を倒すことで自らの意志を貫こうとした多くの志士とは違い、通商によって国を豊かにしようと考えていた竜馬は殺人を好まなかった。そういう竜馬がいたからこそ、憎み合っていた薩摩と長州は手を結んで幕府を倒し明治維新が起きた。

 商人的な考えを持った竜馬については、著者が以前に書いた大作『龍馬』にも、また司馬遼太郎の『竜馬がゆく』でも紙幅を取って説明されているが、その点をメーンテーマとして真正面から取り組んだ作品は珍しい。

 なぜ今、商人としての竜馬なのか。著者の津本陽さんに聞いた。

川嶋 没後140年という節目の年ということもあるのでしょうが、私はこの本を読んで、津本さんが現代の日本を憂えて『商人龍馬』を書かれた気がしてなりません。

津本陽氏

「商人的感覚で生きてきた竜馬を書きたかった」と話す著者の津本陽氏(写真:大槻 純一、以下同じ)

津本 そう思いますか。実は、最近の日本は少し変になってきた気がするのです。アフガニスタンの治安維持活動の一環として自衛隊をインド洋に派遣することなどは、その表れではないかと思います。

 自衛隊による洋上給油そのことの良否を言っているのではありません。決め方が不透明でなし崩し的でしょう。日本の歴史を振り返って、このような決め方をする時が一番恐ろしいと申し上げたいのです。

 近代軍備を整えたロシア軍に対して、鉄砲と手榴弾で立ち向かい全滅したノモンハン事件があったでしょう。数年前、小説を書くためにこの事件について詳しく調べたのですが、調べれば調べるほどあっけにとられました。

 1000台以上の戦車が前にも横にも砲身をこちらに向けている中を、士官が「行け」と怒鳴って兵隊を突進させたわけです。そこが屠場と化すのは分かっているのにですよ。

 しかも、あんな永久凍土の土地を占領しても何にもなりません。にもかかわらず軍隊のメンツだけで信じられない戦争に日本を引き込んでしまった。

 その後のニューギニアやサイパン島、硫黄島を巡る戦いにしても、常識で考えたらあり得ないことが起きてしまう。この国をどう発展させるか、そのためには何をしなければならないかという最も大切なことを忘れて、目の前にあることだけにとらわれて行動する。しかも、それがつまらないメンツが動機になっている。

 今の日本も、同じような道を進み始めたのではないかと危惧するのです。明治維新も竜馬がいなければどうなっていたか。竜馬の考えと行動をもう一度、日本人が見直すべきなのではないかと思ったのです。

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