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官には頼らない、自分の足で立つ

新潟県・松之山【7】

  • 宮嶋 康彦

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2008年1月10日(木)

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 国の政策に期待せず、独自の理念と創意工夫で、棚田という厳しい環境を逆手に取って完全無農薬の米作りを続ける “ 戸邊秀治という生き方 ”がメディアの注目を集めている。

 このコラムが契機となって全国紙が戸邊さんを大きく取り上げた。全国ネットのテレビ局は戸邊さんの米作りを1時間番組にするために取材中だし、フランスのテレビ局が「日本特集」の農業コーナーで戸邊さん一家を取り上げる。 

 戸邊さんを異端視したり、ある距離を置いてつき合いを避けてきたりした農家の人たちも、メディアを通じて、Iターンの戸邊さんがどのような人物であるかを知るようになり、態度を軟化させるようになった。戸邊さんと同じ集落に住む小見重義さんは言う。

 「こうした田舎は新参の人がどんな人なのか、強い興味を示しますが、相手の姿がはっきりするまでは安心しないんです」

子どもたちが良く育っていることを羨む近隣住人

 筆者はこの3カ月の間、松之山郷の多くの家庭を訪問し、様々な人と対話を重ねてきた。当初、戸邊さんへの関心は薄いか無関心、あるいは、また聞きやさしたる理由もなく敵愾心をむき出しにする人もあった。

 しかし、明らかに、取材を始めた昨秋10月とは、住人の評価は違ってきている。相変わらず一定の距離を置いて交際を避ける人はいるが、好意を口にするようになった人も少なくない。

 好感を持ち始めた人たちに共通するのは、戸邊家の子どもたちへの高い評価である。口々に良く育っていることを羨むのだ。それは筆者には意外な理由だった。米が良く育ち、高価で売れるようになったことが評価につながったと思っていたからだ。しかし、考えてみれば、もっとも自然な受容といえる。

 棋士の戸邊誠4段は長男(21歳)。次男(17歳)は調理師、三男はこの春中学を卒業し次男と同じ調理師専門学校に進む。四男は5年生だが父親の後継を目指すだけあって、ひと通りの農作業ができるようになった。小学2年生の長女は天才的な運動能力に誰もが舌を巻く。

 それに何より、子どもたちが両親を敬っている。よく家の手伝いをする。農繁期は学校を休んで農業に専念する。次男と三男は戸邊さんに匹敵するほどの働き手に育った。都会に出て働くことを10代後半の生き方に選んだ彼らだが、いざという時はいつでも農業で自活できる技量を備えている。

 容易に想像がつくことだが、例えば父親が苦境に立った時、彼らはたちまち帰郷して米作りを継続させるだろう。

地域のボランティア活動にも労を惜しまない

 過疎の郷村が再生を期して歩き出す時、こうした人物(家族)の登場が欠かせない。官公庁の制度から助成金をどのように引っぱってくるかといった、旧態依然とした功利主義では揺るぎない基礎は固まらない。

 国の政策や補助金を当てにせず、自力で立つことのできる人物が、その生き方を通じて、ご近所の理解から地域活性が始まることを “戸邊秀治の生き方 “が教えている。

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