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【第18回】 敬愛しうる音楽家との出会い

一緒に生活しているように接し、音楽的な影響を受ける

  • 諸石 幸生

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2008年1月18日(金)

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 フランスの演奏家たちとの経験をベースに、いよいよ川口さんがディレクターとしてレコーディングを仕切るようになる。エンジニアのピーター・ヴィルモースからの独立、自分の方法論の確立、そして真に敬愛しうる音楽家たちとの出会いなど、エリアフ・インバルとの録音に至るまでの10年間の軌跡の重要なステップが今回は明らかにされていく。


―― 社内的にはチェコ・スプラフォンやドイツ・シャルプラッテンをやっている主流派に対し、川口さんは新規開拓派のようなイメージですね。

川口: 完全にそうでした。だからスメタナ四重奏団がレコード・アカデミー賞を取ったと言ってもちっとも嬉しくなかった。だって自分たちがつくったアーティストじゃないんだから。もともと日本にそういった演奏を受け入れる特殊な市場があって、そこに企画としてはめ込んだだけでしたから。そうこうするうちにオトマール・スウィトナー指揮のベートーヴェン交響曲全集の録音も始まった。僕もいくつかは付き合いましたが、耐えられなかったな。ああいう鈍い音楽はだめなんです。どうしてあんなに評価が高いのですかね?

新しいアーティストと続々と録音する

―― そうするとヴァイオリニストのジャン=ジャック・カントロフとか新しいアーティストとの録音に川口さんは賭けたわけですね。

音楽プロデューサーの川口義晴さん

音楽プロデューサーの川口義晴さん(撮影:清水健)

 チェンバロ奏者のユゲット・ドレフュスもです。彼女もヴィルモースに紹介された人でした。

―― さらにリコーダーのエヴァ・レジェーヌという人もいますが。

 ああそうね。彼女は当時リコーダーやフラウト・トラヴェルソの名手で、のちにオリジナル楽器の「18世紀オーケストラ」を結成したフランス・ブリュッヘンのお弟子さんですね。その頃はそのようなかたちのバロック音楽は日本コロムビア(現・コロムビアミュージックエンタテインメント)のカタログになかったんですよ、「涙のパヴァーヌ」なんかがはやっている割りにね。それはスプラフォンが供給できないような新しい潮流だった。だから結構売れました。

―― ピアニストのアラン・プラーネスは?

 うーん、それは失敗したな(苦笑い)。ヴィルモースがいいと言うからやってみたんだけど、駄目でしたね。個人的にはとてもいいやつで、仲よくなりましたけどね。

―― あとはフルートのアンドラーシュ・アドリヤンですか。

 彼はジャン=ピエール・ランパルとオーレル・ニコレの両方の弟子なんだけど、演奏はランパルほど華やかじゃないし、ニコレほど深くもない、中庸ですね。デンマーク国籍で、ハンガリーから亡命して来ていました。でも、もうあの頃にはバイエルン放送交響楽団の首席奏者になっていて、僕も何回かオーケストラは聴きに行きましたが、オーケストラの中ではものすごく良かった。あれだけ吹ける人はそういないというレベルでした。しかし、ソリストとしてどうかということとは違いますからね。これもヴィルモースの強い推薦があったからです。

―― その一方ではチェロの藤原真理さんの録音がありますね。

 今思い出すと、最初はね、ネスカフェのコマーシャルに篠崎史子が出ていたんで、ハープのアルバムを1枚作ったんです。『愛の夢~ロマンティック・ハープ・コンサート』というタイトルでね。これが意外に売れたんです。ジャケットもネスカフェ用に撮った写真を使ってね。その次のコマーシャルが藤原だったんです。ちょうど同じ時期、彼女は78年のチャイコフスキー国際コンクールで2位になって一気にスターになった。それで作ったんですが、タイムリーだったのでしょうね、それも結構売れました。

―― そのアルバムが『ロマンティック・チェロ・ミニアチュアーズ』ですね。

 ええ、そうです。こういうものを作るのはとても勉強になりました。どういう曲目で構成するかとか、編曲を誰に頼むかといったことも含めて勉強でした。篠崎さんのアルバムは、彼女が編曲は南安雄さんに頼んでくれって言うので頼みまして、それ以来、南さんとの付き合いも始まりました。

―― 藤原さんは小品集以外にもハイドン、ボッケリーニのチェロ協奏曲も収録していますね。

 カントロフがちょうどその頃、オランダ室内管弦楽団のコンサートマスター兼ソリストをやっていて、このオーケストラと一緒になんか録音で面白いことやろうよと話が持ち上がったんです。「それじゃ、日本からチェリストを連れてくる」とオーケストラに提案して始まったんです。アムステルダムで録音したんですが、実はこの時のハイドンとボッケリーニの協奏曲集が、僕が初めて一人で収録したアルバムになりました。ヴィルモースがエンジニアでね。

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