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第19回 ロサンゼルスでの「近世水墨画展」

その後、やっと日本美術が世界に広まる足掛りができる

  • 宮島 新一

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2008年1月17日(木)

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 1985(昭和60)年には「近世水墨画展」をもって米国ロサンゼルスに渡った。会場となったロサンゼルス カウンティミュージアムは中規模の美術館で、これから発展しようというところだった。それを象徴するように、滞在中に日本絵画、特に伊藤若冲のコレクターとして知られるプライス氏がコレクションともども寄贈しようとしていた建物の、鍬入れ式があった。その後には、日本政府や企業の援助によって、メトロポリタン美術館や、ボストン美術館や、大英博物館などに相次いで日本ギャラリーが設けられるようになった。やっと日本美術が世界的に広まる足掛りができたことになる。また、近年には、新しい建物に引っ越した韓国中央博物館に、日本室が設置されたこともうれしいニュースとして付け加えておきたい。

欧米の各都市で次々と展覧会を開く

 「近世水墨画展」は生涯を通じて最も気に入った展覧会となっている。東京国立博物館で帰国展を行ったので、ご覧になった方もいるかもしれない。この展覧会では室町時代から江戸時代までの、自分が美しい、面白いと思った作品だけを集めることができた。その結果、日本の水墨画が本領を発揮するのは近世だ、という感想を得た。

 水墨画の本領は表現の自由さにある。室町時代には中国の宋・元画という規範から抜け出すことができなかったが、近世にはそれはせいぜい明・清時代の絵画であり、それ自体がすでに規範がないのだからどう描こうとまったくかまわなかった。例えば、細川林谷の『山水画巻』である。長く京都国立博物館に寄託されていて、学生の頃から目に留めていた。まるでデュフィのような軽やかな筆致で山水が描かれている。現代美術と言ってもよいような作品である。林谷は篆刻(てんこく)が本業で、絵はまったくの余技だった。美術史で言うと文人画ということになるのだろうが、そんな枠にもはまらない実に闊達な筆遣いと、わずかに付された色彩の鮮やかさに魅了された。讃岐の人、林谷の事跡に触れた研究者は少ない。戦前に、吉川修という美術評論家が一文を著しているが、残念なことに彼の絵画については一言もない。

 86(昭和61)年のシカゴ美術館で開かれた「東大寺展」、翌87(昭和62)年のワシントンのナショナルギャラリーでの「大名展」に続いて、平成元年にはベルギーのブラッセルで大規模に催された「ユーロパリアジャパン89」の中心的なイベント「日本古美術展」にも一員として加わった。「ユーロパリアジャパン」とは、毎年異なる国の文化を集中的に紹介する行事で、ヨーロッパにおける「日本年」と言ったら分かりやすいだろう。ブラッセルは欧州連合(EU)の本部のある都市である。

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