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リストラされても、好きでいて~『合コンの社会学』
北村文・阿部真大著(評:朝山実)

光文社新書、700円(税別)

2008年1月28日(月)

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評者の読了時間3時間30分

死因不明社会 Aiが拓く新しい医療

合コンの社会学』北村文・阿部真大著、光文社新書、700円(税別)

 ある人気バンドのリーダーが、テレビのインタビューで、ひとりだけ年の離れた若いメンバーが在籍していることについて、その加入経緯を語っていた。

 冗談めかしたノリがバンドの売りなのだが、このときのリーダーは姿勢をただしキマジメな物腰だった。もとは、年少メンバーはバンドのおっかけだったが、欠員だったパートの穴埋めに起用された。その日が現在のバンドの誕生日となる。

「いい意味でバカなんですよ」

 叩いたことがないドラムをやらないかと誘われ、躊躇するのがふつうだろうが、少年は軽い感じですぐに引き受けた。リーダーの言う「バカ」は、少年が後先を考えて踏み出すタイプなら、ここにはいなかったということを意味している。

 やりたいからやる。できるかどうか、失敗したらどうするのかは後回し。大人の知恵がないぶん、怖さを知らない。

 10年経ったいまでも、彼は怒られ役だ。何度もバンドの危機はあったそうだ。昔を語るリーダー。「バカ」と言うときの表情には、親愛の情というか、メンバーへの信頼が感じられた。

 さて、本書は「合コン」を社会学的に取り上げた本だ。

 といっても、一夜限りのセックス目的は対象外。不真面目だからというよりも、欲望とアプローチが明確なぶん、ここで取り上げる独特のスパイ戦にも似た苦慮に欠けるからだろう。本書における合コンは、恋人や将来の配偶者との確かな出会いを求める場と定義される。

 著者は、ともに1976年生まれの、東大大学院を経た研究者。団塊ジュニア世代の男女ふたりの共著という形式が、男女の異なる捉え方を加味することでプラスに働いている。

 合コンではどんな態度が嫌われるのか。

「結婚オーラが出ている女性は怖い。電話番号を聞いたら最後、結婚しなきゃいけない、みたいな。仕事辞めたいって連発する女性も、ひいてしまう」(男性・30代・専門職)

「うんちくを語りだす男がいや」(女性・30代・会社員)

「自分の趣味を延々としゃべっている女がいた。デコレーションとか何とか。知るかって感じで場がしらける」(男性・30代・会社員)

「ずっと為替相場をチェックしてる男の人がいたけど、あれは最低。そういう仕事をしてるっていうアピールなんだろうけど、『今、一億動いた』とか言われても」(女性・20代・会社員)

 匿名の聴き取り調査だけに、あけすけな男女それぞれの本音が並んでなかなか面白い。しかも、せっせと皿を取り分けたりすることに好感を抱く人がいるかと思えば、それを嫌う人もいる。「嫌い」という身も蓋もない一言だが、その背景に、彼や彼女の事情をつい想像する楽しさがあるのは、研究書にしては異色である。

合コンの会話は禁止事項だらけ

 「知ったかぶりで、なにかとアドバイスめいたことを言ってくる」男が嫌だと言い、「上目づかいで、とにかくうなずく」かわいい女の素振りを演じる、と告白する女性たち。

 合コンは「場の空気」を壊さないための、多くのルールによって保たれている。過去の恋愛話は持ち出さないほうがいいし、詮索はタブー。家族構成も同様で、ルールを犯すと「空気が読めないやつ」に振り分けられかねない。会社の自慢、年収の話はもちろん禁止事項のトップに挙げられる。

〈一日のほとんどをオフィスで過ごす男女が、不自然なほどにその部分を回避してコミュニケーションを進めようとするのにはより深い理由がある〉と著者は言う。

 本当は知りたい。なのに、聞かずにすませる。交わされるのは、当たり障りのない会話に尽きる。これぞと思う人に接近するにしても、ひとりだけ目立ってはいけない。ダメダメ事項の多さは、まるで地雷の埋まった戦場をゆくかのよう。意外なほど多くの参加者が、疲れるとこぼしている。

 合コンと似たものに「お見合いパーティ」があるが、後者が年収や職業をオープンにした場であるのに対して、合コンは参加メンバーが共同で「自然な出会い」を演出する場であり、東京ディズニーランドの空騒ぎに似ている。

 ミッキーの着ぐるみの中に入っているのが、日本人の男の子(もしやオジサンかもしれないが)であるのを知ってはいても、居合わせた全員がそんなこと想像したりしませんというふうに振舞うのがディズニーのルールであるように、合コンの場も、ルール違反のプレイヤーは嫌悪される。結婚オーラをだす「がっつき」タイプがそう。

 著者いわく、〈合コンには、ふたつの異なるダイナミクス──協働と競争──が混在する〉

コメント1件コメント/レビュー

合コン用のキャラを作って出会う事にどんな意味があるのか?結局どんなに外見を取り繕ったところで、結婚するとなれば本性を見せざるを得ないのに。本当の自分を晒すことなく結婚して、あとでこんなはずじゃなかったと後悔しても、子供ができたりすれば離婚は多大なエネルギーを使う。だとすれば始めから本当の自分を見せて、ありのままの自分を好きになってくれる人を探したほうがどう考えても効率的だと思うのだが・・・?(2008/01/28)

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合コン用のキャラを作って出会う事にどんな意味があるのか?結局どんなに外見を取り繕ったところで、結婚するとなれば本性を見せざるを得ないのに。本当の自分を晒すことなく結婚して、あとでこんなはずじゃなかったと後悔しても、子供ができたりすれば離婚は多大なエネルギーを使う。だとすれば始めから本当の自分を見せて、ありのままの自分を好きになってくれる人を探したほうがどう考えても効率的だと思うのだが・・・?(2008/01/28)

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