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「苦しいときの神頼み」は、案外しないもの~『日本の10大新宗教』
島田裕巳著(評:荻野進介)

幻冬舎新書、720円(税別)

  • 荻野 進介

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2008年1月22日(火)

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日本の10大新宗教

日本の10大新宗教』島田裕巳著、幻冬舎新書、720円(税別)

 日本人は無宗教だとよく言われるし、自分たちもそう思っている。一方で現在、日本にどのくらいの数の宗教団体があるかご存知だろうか。

 文化庁によればその数22万、総信者数は2億1000万人にも上る。数字から瞥見すれば、いやはや、日本は大変な宗教大国なのだ。

 団体数の多さにも驚くが、信者数が日本の総人口を軽く上回っているのは、教団が数を多めに申告しているのと、寺の檀家と神社の氏子のように、ひとりで複数の信者を兼ねている例が多いからだろう。一神教どころか八百万の神を奉じる民といわれる所以である。神の多さは宗教心を希薄化させる。日本人の無宗教意識はこんなところから由来するのかもしれない。

 22万ある教団のうち、明治以後に成立した新宗教がどれだけ含まれるのかは定かではないが、その中から、〈教団の規模、現在、あるいは過去における教団の社会的影響力、さらには時代性を考慮して〉、代表的な13教団(「10大」教団といっても同系列の宗教は一括りにしているため)を選択。それぞれの成り立ちから、分派のありさま、引き起こした社会的事件などをまとめたのが本書である。

 著者は島田裕巳。1995年に起きたオウム事件で、教団側に有利な発言をした廉でマスコミから糾弾され、勤務先の大学も辞めざるをえなかった宗教学者だ。

 登場する教団を“縦糸”にたとえれば、「あまたある教団の中でなぜこれを取り上げたのか」「そもそも日本人の宗教観とは何か」といった“横糸”に相当する記述が弱く、“織物”としての完成度が高いとはいえない。しかし、宗教学という確かなバックボーンの存在を感じさせながら、一般人が新宗教に対して抱く覗き見的趣味もほどよく満足させてくれる。日本の新宗教の歴史をざっくりつかむのには便利な一冊だ。

「無宗教」的な日本で、これだけ新宗教が現れた理由は

 島田によれば、日本人の無宗教意識と新宗教は密接に関係している。江戸が終わって近代化するまで、日本には「宗教」という概念がなかった。生まれた時から、神道と仏教が組み合わさった既成宗教の信者になるのが普通だったからである。

 明治になってその概念が輸入されたわけだが、国民の多くにとって既成宗教=宗教ではなかった。島田はそこまで書いていないが、既成宗教が日常生活と密着し、もはや習俗と化していたからだろう。そんなわけだから、日本人は「わが国には古来、仏教と神道という2つの宗教がある」といわれても、どちらを選択できるわけでもなく、自分たちをむしろ無宗教だと考えるようになった。

 つまり、仏教と神道以外の宗教=「宗教」というわけである。最初はキリスト教がそうだったが、やがて、天理教や大本といった、新たに誕生した教団がそれに代わっていった。新宗教の誕生である。

 本書で取り上げられている13教団は、次の5枠にグループ分けできる。

  • 天理教、大本、生長の家といった戦前からの古参組
  • 戦後すぐに世間を賑わせた天照皇大神宮教と璽宇(じう)
  • 高度成長期に教勢を拡大した立正佼成会、霊友会、創価学会
  • 若者の取り組みに熱心な世界救世教とその分派の真光系教団、そしてPL教団
  • バブル以降に話題になった真如苑、GLA(ジー・エル・エー総合本部)

 顔ぶれを見て「あっ、あれがない」と訝しく思う人は多いだろう。オウム真理教と統一教会、それにエホバの証人である。あるいは、幸福の科学。前三者に関しては、反社会的な教えを含むカルト教団と、カルトか否かの峻別が難しい教団が目立つキリスト教系は記述から外した、と島田は書く。だが、幸福の科学については何の説明もなく梨のつぶてである。文字にして論じるまでもない、ということだろう。

 島田は、取り上げた教団=すぐれた教団というわけではない、と断ってはいるが、1990年代前半にあれほど話題にはなった幸福の科学を完全無視したように、何らかのバイアスはかかっているはずである。意地悪くいえば、何を選び、何を除外するかに島田の新宗教観が透けて見えるはずなのだ。

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