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「社会」に殺されないために、インストールしておくべきこと

空気を読む前に、古川日出男を読め!(その3)

  • 深川 岳志

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2008年2月8日(金)

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 古川日出男インタビュー第3回目です。
 古川作品には独特のキャラクターが登場します。
 彼らは決してスーパーマンではありません。
 しかし、普通でもありません。
 特別な事情を抱えた、ちょっと普通ではない人たちです。
 しかし、このインタビューを読んでいるあなたは果たして「普通の人」でしょうか。
 どこかちょっと普通ではないところがある、と、よくも悪くも感じていませんか?
 そんなあなたには古川作品を読んで「得をする」可能性があります。
 最終回は、境界線へのこだわりと、個人に攻撃をしかける社会への対応策をお届けします。

 (その1/その2から読む)

ゴッドスター

あたしはごくありふれた
OLだった。
夕暮れの横断歩道で
ひとりの男の子に出会うまで。
融解する時間、
崩壊する日常。
そして――
「ママ」となったあたしの、
新しい世界が始まる。
「天地創造って、こんな感じ?」
最速・最強の東京湾奇譚、
ついに降臨。

古川日出男氏の最新刊
ゴッドスター』(新潮社)1300円

境界線にこだわる

柳瀬(日経BP社出版局 以下、Y) 前回お聞きした、主人公に何か重要なものを「欠落させる」ことによって、逆に獲得するものがある、ということ。例えば、『サマーバケーションEP』の主人公がそうですけど、古川さんは、これを欠落させたらどうなるだろうというのを、自分の中でシミュレーションしながら書くんですか。

古川日出男氏

古川日出男(ふるかわ・ひでお)氏
福島県郡山市出身。早稲田大学第一文学部中退後、編集プロダクション勤務。1998年『13』で小説家としてデビュー。2002年『アラビアの夜の種族』で第55回日本推理作家協会賞、および第23回日本SF大賞をダブル受賞。2006年『LOVE』で第19回三島由紀夫賞受賞。

古川 頭ではしないですね、何か自然にそうなっちゃう。無理やりキャラクターは作らないですからね。「じゃあ今度は歯がない主人公を書こう」とか、あんまり思わないし(笑)。

 小説にも一度書いたことがあるんですけど、ある電車に乗ったら若い男の子2人が、すごく美しく会話をしている。何でこんなに美しいんだろうと思ったら、2人はしゃべっているのではなくて、手話だったんです。

 耳が聞こえなかったんですね。そのときは分からなくて、2人でノイズがない美しいしゃべり方をしているなとずっと見ていて、気づいた時はショックですよね。そういうのが自分の中に蓄積して、物語を作っていくんだと思うんですよ。

 例えば、カラスが街の中で犬の鳴きまねをしているのに、はっと気付いた瞬間。「犬の声をやっているよ、こいつら」って。そういうのに気づいた瞬間にこの世の可能性も分かる。自分は限定されてないなという感覚を自分の作品にとどめておきたいんですね。

Y 今回の『ゴッドスター』で今までのこのところの東京を描いた小説とちょっと違うなと思ったのは、これまでは、所番地まで明示されたりしたのに、今回は場所は特定されていないことですね。勝手に東雲のあたりかな、とか思ったんですが。

古川 あっ、近い、豊洲です(笑)。

Y 今回はあえて書かなかったんですか。

古川 あえてですね。

Y なぜですか。

古川 固有名詞のために(物語に)入れない人たちもいるんです。行ったことがないから、とか。(神田川に沿って主人公たちが歩いていく)『サマーバケーションEP』も、読んだ人はすごく評判がよかったんだけれども、「神田川と言われても、分からないから嫌だ」という人もいたんです。

 扉が閉ざされている可能性があるならば、そういうのを1個ずつ開けなくちゃいけないので、今後、固有名詞とか、地名を排除する小説も考えなきゃいけないんですね。

Y 『ゴッドスター』に関していえば、地名ではなくて。

古川 「埋め立て地」だということ、それだけが重要なんですね、おそらくね。この小説においては。ほかのことは重要じゃない。

Y なぜ埋め立て地というところにこだわられたんでしょうか。

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