• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

すべての道はローマに通ず--パックスロマーナ

『コンスタンティヌス ユーロの夜明け』 大澤武男著 講談社 1600円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

バックナンバー

2008年2月1日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

『コンスタンティヌス ユーロの夜明け』 大澤武男著

『コンスタンティヌス ユーロの夜明け』 大澤武男著

 コンスタンティヌスの人物歴は、古代ローマ帝国の衰退の歴史に重なる。紀元312年、コンスタンティヌスはローマに進撃中だった。ローマには政敵のマクセンシウスが待ちかまえている。コンスタンティヌスの軍勢は、3万。ガリア、ゲルマニア、ブリタニアの勇猛な兵士たちは長い行軍に疲れ果てていた。

 攻撃の対象は、千年の帝国を標榜するローマ。マクセンティウスは鉄壁の要塞と15万の兵士を抱えて、コンスタンティヌスの、わずか3万の軍を迎え撃とうとしていた。

 誰の目にも、いや攻撃軍の将コンスタンティヌスにしてから、この進軍は不安に満ちたものだった。

 ローマを目前にして、ガリア・ゲルマニア軍団は評議を開いた。そのときの結論は、奇蹟が起こらなくては、ローマには勝てぬ、というものだった。幕舎に戻ったコンスタンティヌスはしばらく仮眠をとり、夕日を浴びるテントの外に出た。地上を赤く初める夕日の残照に見とれ、ふと気配を感じて、振り向いて東の空を仰いだ。

 すると、暗くなりゆく空に、黄金色の十字の印がくっきりと浮かび上がっていた。ここまでは、光と雲のいたずらで、しばしば起こる可能性のある天然現象だ。しかし、コンスタンティヌスはこの天然現象のなかに、文字をはっきりと読んだ。十字架の上の空に「In hoc signo vinceイン・ホク・シグノ・ヴィンケ(汝、この印にて勝て)」と書かれていた。これこそ奇蹟だ。十字といえば、キリスト教の印ではないか。

 コンスタンティヌスは、この奇蹟を直ちに全軍に取り入れた。全軍団の旗や楯、馬具などに、十字の印を付けることを命じた。全軍は一夜にして、キリスト教徒の軍団に変貌した。

 奇蹟(十字架)の加護を受けた、ガリア・ゲルマニア軍団は、マクセンティウスの大軍団を、まさに奇跡的に破壊し、ローマ入城を果たした。マクセンティウスの暴政に疲れ果てていたローマ民衆は歓呼し、コンスタンティヌスを受け入れた。暴政は去り、ローマに本来の元老院による政治が戻ってきた。

 コンスタンティヌスはキリスト教を初めて認めた統治者となった。紀元313年、キリスト教を公認するミラノ勅令を発布し、キリスト教がローマ帝国の礎となった。

 ローマ帝国はもはや、広大な版図治める力を持っていなかった。ササン朝ペルシャに侵略をくい止める力が残っていなかった。広大なローマ帝国は緩やかに瓦解し始めた。

 帝国消滅後、キリスト教は新たな新興国ヨーロッパの国々に広がっていった。本書の副題にあるように「ユーロの夜明け」を迎えたのだった。

「書物漂流」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

店長や売り場主任などの管理職は、パートを含む社員の声を吸い上げて戦略を立てることが重要だ。

川野 幸夫 ヤオコー会長