「米国ゴルフツアー “たった一言”ストーリー」

ゴムひもの限界点――アニカ・ソレンスタム

It's a little light in the tunnel. (トンネルの中に小さな光が見えた)

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2008年1月31日(木)

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アニカ・ソレンスタム

It's a little light in the tunnel. ― アニカ・ソレンスタム

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(写真:田辺 安啓)

 人間が残酷なのか、それとも好奇心を煽りたがるマスメディアが残酷なのか。栄華をきわめたビッグスターの転落物語は、いつの世も人々の注目を集める。

 米女子ゴルフ界で女王の座に君臨し続けてきたアニカ・ソレンスタムの転落は、アメリカのみならず世界のメディアの恰好の餌食となった。95年の全米女子オープン優勝以来、毎年最低2勝以上を挙げ続け、02年は年間11勝、05年は10勝と圧倒的な強さを誇ってきたソレンスタム。賞金女王に輝くこと8回の実力者は「女性版タイガー・ウッズ」の異名を取りながら、11年間の長きに渡り、最強のオーラを放ってきた。

 しかし、06年は3勝を挙げながらもメキシコ出身の新鋭ロレーナ・オチョアに女王の座を奪われ、昨年は未勝利で賞金ランクは25位へ一気に転落。ソレンスタムが年間1勝もできなかったのは、95年以来、初めての出来事だった。

 「栄枯盛衰のストーリー」「アニカ時代の終焉」――新聞や雑誌に躍ったそんな見出しは、まだ“かわいい”ほうだった。離婚後、新たな恋人と再婚したソレンスタムに対し、「もう、ゴルフでは生きていけそうもないから、プロゴルファーから『女』へ転身するつもりだ」などとセクハラまがいの記事まで出回った。フロリダ州内のゴルフ場に自らの名を冠したゴルフスクールを創設したと発表したら、「今後は賞金による収入が激減するから、余生に備えてビジネスに走り始めた」と書き立てられた。どの記事も彼女の引退を示唆する方向へ走っていた。

 そんな中で、ソレンスタム自身は一体何を思っていたのか――。米ツアーの試合会場で開かれた記者会見では「勝てなくても手ごたえはあった。今年は、とってもいい年です」などと本心ではないことが見え見えのコメントばかり。自らの胸中をきちんと言葉にしなかったために、周囲の穿った見方ばかりが独り歩きをしていった。

 だが、昨年末、中東の地で開かれた欧州女子ツアーのドバイ・レディス・マスターズで、その年初の優勝を手に入れたソレンスタムは、こう言ったのだ。

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著者プロフィール

舩越 園子(ふなこし そのこ)

在米ゴルフジャーナリスト。早稲田大学政経学部卒業後、広告代理店勤務を経て、独立。1993年渡米。ロサンゼルスを拠点に米国のゴルフ界を取材し続け、日本の新聞・雑誌等へ幅広く執筆中。



このコラムについて

米国ゴルフツアー “たった一言”ストーリー

米国のプロゴルフ界を取材しながら常々感じていることがある。それは、大物選手ほど簡単な言葉で奥深い話をするということだ。奥深いと言っても、哲学めいた小難しい話をするわけではない。選手が口にした一言に、その選手のバックグラウンドや素顔を重ね合わせて咀嚼すると、なるほどと頷ける何かが浮かび上がる。その「何か」は我々の人生にもあてはまり、ときには「目からウロコ」のような効果さえ発揮してくれる。そんなとき、その一言に感激し、その選手の大物ぶりにあらためて脱帽させられるのだ。

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