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それは、生死を左右する~『床ずれ博士の在宅介護』
大浦武彦著(評:三浦天紗子)

朝日新書、740円(税別)

  • 三浦 天紗子

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2008年2月6日(水)

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評者の読了時間3時間00分

床ずれ博士の在宅介護

床ずれ博士の在宅介護』大浦武彦著、朝日新書、740円(税別)

 「床ずれ」と聞いて、読者のみなさんはどんな連想をするだろうか。寝たきり、老人介護、何だか痛そう……そんなところだろう。

 が、その認識は甘い。実は床ずれは、患者にとって生死を左右することもあるほどの深刻な症状なのである。

 床ずれについての研究が多少進んだいまは、治療法も徐々に改善されつつあるが、以前は床ずれによる傷が原因で敗血症や多臓器不全を起こし、本来の病気の悪化を待つ前に亡くなってしまうケースもあったという。

 また、本来の病気の回復をあきらめかけた終末期にできることも多く、床ずれには長年、〈治療することすら不可能な、死の訪れが近いことを告げる症状〉のような暗いイメージがつきまとっていたらしい。

 私は恥ずかしながら、そのことを本書で初めて知った。

 介護者が介護に疲れ、面倒を見ていた伴侶や親きょうだいを思いあまって殺してしまう事件がめずらしくない時代である。介護は身近な問題であるはずなのに、まだ親が健在で介護の「か」の字も浮かばない状況にいるせいか、どうしても実感が持てず、素通りしてきていた。

 まして、介護申請や介護保険といった手続きのあれこれではなく、床ずれという現場感にあふれたトラブルのことなど、これっぽっちも考えたことがなかった。

 もっとも、このレビューを読んでいる世代の多くは、私と似たような感覚──「介護なんてまだ先の話」的な、天下泰平でいるのではないかと思う。

 だが、「介護」の日々は突然にやってくる。〈ちょっと転んだだけだと思っていたのに、いつの間にか寝付いてしまう、といったことはお年寄りにはよくあることです〉と著者は言う。

 そうした事態に陥って初めて、多くの人は介護の現実を知る。介護についての正しい知識と情報をみなが知らなすぎるために、床ずれは放置され続け、たくさんの誤解を生んできたのだと本書は始まる。

 それを詳しく説明する前に、床ずれについて確認しておこう。

「床ずれ」が誤解されてきた理由

 床ずれとは、寝たきりのからだにかかる圧迫や摩擦などによって、血流の流れが妨げられることで起きる皮膚組織の壊死のことだ。褥瘡(じょくそう)とも言う。日常生活で私たちがイメージするとすれば、「靴ずれ」が近いらしい。実は床ずれは靴ずれと同じ原理ででき、ほんの小さなきっかけで始まるものだとか。

 初期症状は発赤や軽いただれレベルだが、放っておくと次第に水疱ができて膿がたまり、じゅくじゅくとした潰瘍になっていく。ひどくなると、「ポケット」と呼ばれる、患部に穴が空いてしまうような状態になってしまうこともある。

 やっかいなのは、靴ずれと違い、患者に床ずれができていても発見が遅れがちなところだという。当人の意識がなかったり、麻痺や加齢によって皮膚感覚が鈍くなっているために、痛みを訴えない。そもそも傍目には、痛みを感じているかどうかがわかりにくい。血流障害や免疫力低下などとも相まって、知らないうちに進行してしまっていた、ということが多いのだ。

 簡単にできてしまうのに、一旦なってしまうと傷はすぐには治りにくく、再発もしやすい。正しいケアが行われないと、わずか数時間で深い床ずれができたり、治りかけていても一晩のうちに再び悪化してしまったりする。

 それが、誤解のもとになっていたポイントである。

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