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英国王室と女たちの戦い

『プリンセス・オブ・ウェールズ 英国皇太子妃列伝』 デボラ・フィッシャー著 藤沢邦子訳 創元社 2400円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

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2008年2月8日(金)

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『『プリンセス・オブ・ウェールズ 英国皇太子妃列伝』 デボラ・フィッシャー著

『プリンセス・オブ・ウェールズ 英国皇太子妃列伝』 デボラ・フィッシャー著

 真っ直ぐ訳せば、ウェールズの王女様たち、となる。真っ先に思い出されるのが現チャールス皇太子の妃だったダイアナ妃のことだ。そして筆者もまたウェールズ人だ。

 ちょっと驚かされることだが、英国の王室関係の書物には「プリンセス・オブウェールズ」という項目がどこにもないのだという。でも、連綿とプリンセスたちは世代を継いできた。

 直感的に分かることだが、この称号はそもそも、ウェールズという国家がなくては始まらない。このウェールズという国自体の知名度が低い。英国の地図を開いても、イングランドの北にあるスコットランドには目がいくが、ウェールズには目がいかない。そもそも存在すら知らない人がいるのではないか。

 昔、社会科でイギリスの石炭はウェールズから掘り出されるということを習った覚えがある。近年ではC.Wニコル氏と会ったとき、裏山は炭鉱のボタ山だったといっていた。かれはボタを緑に戻す運動をしたという。

 では、プリンセス・オブ・ウェールズの歴史の断片を。ウェールズはイングランド王エドワード一世によって1282年に征服された。その直後、ウェールズ人の王妃、本当のプリンセス・オブ・ウェールズが亡くなった。

 以後、征服者のイングランド王の皇太子妃が、プリンセス・オブ・ウェールズの称号を受け継ぐことになった。どうしてなのか、よく分からない。詳細に説明すると、書物漂流の項をはみ出してしまう。そして、現代までイギリス王室でプリンセス・オブ・ウェールズを名乗った女性はわずか9人に過ぎない。

 イギリス王室はいつも、正統性を巡る争いが絶えなかった。皇太子がいなくてはプリンスも出番がない。皇太子が早世しても、皇太子妃は登場できない。

 そんなわけでプリンセス・オブ・ウェールズは空位の時が長く続いたりして、希少な存在となってしまったのだ。表紙にその9人の肖像がすべて描かれているが、割に地味な女性が多い。やはり、ダイアナ妃が飛び抜けて美貌を誇っている。

 イングランドの王朝史は複雑怪奇で、簡単には要約できない。ダイアナ妃はプリンセス・オブ・ウェールズの職責を文字通り果たした女性だった。ウェールズを訪れたダイアナはウェールズ語で挨拶をした。そんなプリンスは、それまでに誰ひとりいなかったという。ウェールズでダイアナの人気はいきなり沸騰したという。

 もう1つダイアナ妃の革新性を。チャールズ皇太子と結婚するとき、カンタベリー大司教の言葉を繰り返して、結婚に誓いを立てる。ダイアナはその中から1節を削除させたという。それは「夫に従順に従い」という結婚の誓いの伝統的な文言だった。これは英国の女権拡張主義を驚喜させた。

 世界は一人の大切な人物を失ったようだ。

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