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過疎と過密を行き来する人たち

新潟県・松之山【11】

  • 宮嶋 康彦

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2008年2月7日(木)

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 俳優の菅原文太さんが筆者に「なぜ戸邊さんを追うようになったのですか」と問うた。偶然に出会ったその日に、何かを為す人と直感したと答えた。間もなく、戸邊さんと菅原さんの対談が始まった。テーブルの上には当コラムのコピーがずらっと並べられている。

 菅原さんがパーソナリティーを務めるラジオ番組の収録は、戸邊さんの母親の思い出話から始まった。

「勝手に決めないで」と妻に釘を刺された

 戸邊さんとラジオ局の社屋を出て、有楽町界隈を歩いた。

 「今朝はきのうの雪のためにJRのダイヤが乱れていて、ラジオ局との約束の時間に遅れるのじゃないかと、ちょっと心配しました」

 豪雪地から上京してきた戸邊さんが、わずかな積雪を観測して混乱する都市機能を嘆いた。そして、「都会は消耗します」と、かつては東京の大学に通った人とは思えない物言いをする。すっかり越後の山間の自然児になったということだろうか。

 「昨日、木村さん(仮名・前々回紹介した戸邊流の自給自足を模索するデパート勤めの会社員)と話しながら、彼のやる気が伝わってきました。今月半ば、予定通り家族4人でうちに来ます」

 戸邊さんと木村さんが初対面した千葉県市川市のファミリーレストランに、筆者も同席させてもらった。“戸邊秀治の生き方”を、戸邊さん本人から聞きながら、木村さんの双眸は輝いていた。いまだに奥さんの理解は得られていないものの、今の生き方を変えたい、という願望は、いささかも変わっていない。

 ただ、戸邊さんに会いに行く木村さんに奥さんは「勝手に決めないで」と釘を刺したという。木村さんは「もちろん、妻を無視してできることではありませんから」と説明した。その言葉を受けて戸邊さんが言う。

 「家族の理解がなければ難しい。ぼくの周囲に、ぼくのようなやり方をする5反百姓が増えればいいと思うけど、仕事は家族で分担するのが理想です」

優良企業に勤めながらなぜ…

 戸邊さんにしても木村さんにしても、大学を卒業して就職した会社は国内では優良企業。世間並みに暮らすには何不自由なく生活できるはずだ。そこからわざわざ、終着駅のない道を選ぶというのだから、筆者としては余計な心配もしたくなる。

 菅原文太さんも、なぜ安泰な道を捨てたのか、と疑問を戸邊さんに投げかけていた。目的地までのキップを買い、新幹線に乗車することができたのに、なぜ途中下車をし、わざわざ鈍行列車に乗り換える必要があったのかと…。

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