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「ファミリースキー」場に、J-POPは流れない
〜ゲーム回帰層を狙うビジネスの始まり

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2008年2月8日(金)

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 ここ数年、ゲームユーザーの年齢層は爆発的に広がり、あらゆる年齢の人たちがゲームに接するようになりました。「ターゲットは5歳から95歳まで」という任天堂の指針は、成功しているといっていいでしょう。

 昨今、任天堂のソフトが圧倒的な売れ行きを示す一方、他メーカーはその影響に苦しんでいます。当初から「ユーザー層を広げる」ことに注力し、そのためのソフトを作ってきた任天堂と、状況の変化を見極めてからソフト制作に乗り出したソフト開発メーカーとの間で、タイムラグが生まれているのですね。

 したがって、これは時間が解決していく問題、ともいえます。

 すでにニンテンドーDSでは、任天堂以外からのヒット作が出てきています。Wiiも、広がったユーザー層にあわせたソフトが作られ、他メーカーからヒット作が出てくるようになるでしょう。そろそろ、その萌芽が見えてきたと考えてよさそうです。

ファミリー向けソフトの登場

 たとえば、1月31日に発売された「ファミリースキー」(バンダイナムコゲームス/Wii用ソフト)は、なかなか興味深いソフトです。

 ひとことで説明すると、これはスキー場をまるごと再現したスキーゲーム。「子供向け」として媚びた絵柄にはせず、かといってグラフィック面を実写風にするのでもなく、ほどよく「家族で楽しめる」という雰囲気のゲームとして仕上がっています。だからMii(Wii上での自分の分身)を使い、目的もなく、ただゲレンデを滑ることが楽しい! という気分にさせてくれるのでしょう。

 また「Wii Fit」に同梱されているバランスWiiボードにも対応していますので、プレイヤーの体重移動によってスキーを操作することも可能です。ちゃんと体重移動が出来る人(スキーの経験者)は、ゲレンデを格好良く滑ることができますし、その様子を見て、家族でワイワイと楽しめるゲームになっています。

 そして、何よりも興味深いのは、ゲームのあちこちに散りばめられた、細かな演出。

 いざプレイしてみると、わかります。これは「日経ビジネス」のWebサイト(つまり、このコラムです)を好んで読んでいるような世代の人たちに向け、ノスタルジーをどんどん喚起するようになっています。そういう演出が、いたるところに施されているのです。

ノスタルジーを喚起させるカラクリ

 たとえば、このゲームの中にあるスキー場は、どう見ても「最近のスキー場」ではありません。

 だってそこには、スノーボーダーの姿がない。

 基本的には、みんながスキーヤー。嬌声をあげてカッ飛んでいる若者もいれば、のんびりと過ごしている年配者もいる。30〜50代の人たちが、かつてスキー旅行に行っていた当時のゲレンデの光景が、きっちりと再現されています。

 スキー場に流れているBGMも同様です。流れているのは、松任谷由実の「サーフ天国、スキー天国」「恋人がサンタクロース」「BLIZZARD」など。しかも普通のゲームのように、いつも同じ音量で聞こえるのではなく、ゲレンデに設置してあるスピーカーの近くでは大きく聞こえ、離れると小さく聞こえます。かつてのスキー場の雰囲気も、きっちりと再現されているのです。

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著者プロフィール

野安 ゆきお(のやす・ゆきお)

野安ゆきお

1968年生まれ。ファミコンの時代から、テレビゲームの関連記事・単行本の執筆に専念。製作に参加したゲーム攻略本・ゲーム関連書籍は100冊を超え、プレイしたゲームは1000本を超える。

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