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「消費者ではいられない」コミュニティをつくる
~運営することと、参加すること

  • 小橋 昭彦

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2008年2月12日(火)

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ムラからの手紙

 今、PTA新三役の決定待ちです。

 先ほど、役員全員による投票の結果選ばれた上位男女各5名の人たちが、今、別室で相談しています。その中から互選で、新年度の会長、副会長、会計を選出することになっています。残された役員は、そのまま部屋で待機。他にすることもなく、こうしてあなたへの手紙を認めることにしました。

 新年度の(というか毎年そうですが)PTA役員は総勢30名。幼稚園から小学校6年生までの学年ごとに男女1名ずつ、学区内の各集落からも男女各1名の代表が加わります。ぼくは新一年生になる次男の学年の代表としてこの場にいます。先ほど聞いたところによると、来年度からは全校生徒数が100名を切るとのこと、兄弟姉妹もいることを考えると、全世帯数はもっと少なくなるでしょうから、うち30名がPTAに役員として関わっているとなると、かなりの比率になりますね。

「コミュニティ」を改選で維持する

 2月から3月は、PTAに限らず、さまざまな団体における改選の季節です。今年は2年に1度の自治会の役員改選期にあたりますので、誰にお願いするかの相談が水面下でそろそろ進んでいます。隣保組長としてのぼくの役目もまもなく終了。役を避けたがる人は少なくありませんが、ぼくは割り切っています。任期が終了して寂しいとまではいいませんが、地域運営のあり方を経験する貴重な機会であったと思っています。

 ところで、「コミュニティ」という表現がありますよね。

 PTAや自治会に代表される旧来型の団体も、新しく出てきたNPOのような団体も、同じようにコミュニティと呼ばれることもある。とはいえこの時期になると、ふたつの組織のあり方の違いを意識せざるを得ません。

 PTAも自治会も、広く地域の人が属する(属さざるをえない)組織です。加えて、その上部組織がある。集落の自治会長が集まる区としての代表者会議があり、さらに区の代表が集まる市の会議があるといった次第です。役員の選び方も、誰にも開かれているというのでしょうか、再任はあるにしても、交代を前提とした仕組みです。仮にあなたがこの地区に移住してきたなら、何年か後には、あなたが役員として、地域を運営する側に回る可能性が高くあるわけです。

 NPOの場合はどうでしょうか。まず構成員のあり方からして違います。NPOの会員は、同じ目的を共有した人たちが、自ら選択することで所属しますよね(これを「選択縁」と呼んだりもするようです)。組織としても、階層になってはいません。多くの場合、ある地域の代表からなる代表者会議があってといった構成にはなっていないですよね。そしてなによりも役員のあり方。NPOの運営者が定期的に交代することはまれではないでしょうか。その活動分野の専門家たちが、理事として長く運営にあたるケースが多いようです。

NPO型の組織では提供できないもの

 スコッチポル(『失われた民主主義』)がそうなのですが、ここで述べたような違いに着目して、前者の地縁型組織に代表される団体ををメンバーシップ型、後者の選択縁型組織をマネジメント型と呼んで区別する見方があります。

 彼女の著作を読んで以来、しばしば、それぞれの組織の特性について考えています。今問題とされる「地域コミュニティの崩壊」というのは、前者のメンバーシップ型のコミュニティが弱まっていることを意味していますね。それに対して、今後は選択縁に基づくコミュニティによって補っていかなくてはならない、という考え方があります。ぼく自身、その考え方を支持してきた部分がある。でも、ほんとうにそれで解決するのでしょうか。

 いつだったか、あなたに葬儀委員長を務めた話を書きました(「ええお世話をされましたね」)。葬儀会館などを利用するのではなく、地元のものが協力して、地域内の家から葬儀を出す。つい1カ月ほど前、もう一軒葬儀があって、同じ経験を繰り返しました。そうした機会を経てあらためて感じるのは、いわゆる従来からの「地域コミュニティ」を支えていたのは、このように葬儀を出したり、あるいは地域内を清掃したりといった機能を維持するためであったということです。これは地域だけではなく家族というコミュニティについても言えることだと思いますが、何かの共同作業、機能の共有・分担を行うのが、コミュニティを維持するもっとも基本的な動因だと思うのです。

 機能を支えるためには、選択を前提にしていては成り立ちません。コミュニティにとって不可欠なのですから、だれもが所属し、分担せざるをえない。地域コミュニティが弱くなったのは、これまでは不可欠とされてきたそうした機能(葬儀や清掃など)が外注できるようになり、共同でことにあたる必要性が薄れてきたからといえそうです。

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