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ノムさん、なぜ今この本を?~『あぁ、阪神タイガース』
野村克也著(評:柴田雄大)

角川oneテーマ21、税別686円

  • 柴田 雄大

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2008年2月29日(金)

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評者の読了時間1時間30分

あぁ、阪神タイガース――負ける理由、勝つ理由

あぁ、阪神タイガース――負ける理由、勝つ理由』野村克也著、角川oneテーマ21、税別686円

 正直言って、野村克也という人物をあまり好きではなかった。根暗な印象、話すことも愚痴やぼやきが多く、さわやかなイメージがない。まして、夫婦そろってキンキラのブランドものに身を固めテレビに出演している姿などは…。

 プロ野球の現役の監督が、他のチームを論評した本を出す。これは尋常なことではない。いずれ公式戦で対戦する相手なのだ。野村氏は2006年にも『巨人軍論』という著書を出しているが、同書は、自らファンだったとカミングアウトしているだけに、V9時代の巨人の作戦や用兵などについて、憧憬を交えて語ったものだ。

 しかし阪神タイガースとなると、一ファンや一評論家という立場ではない。元監督なのだ。いったいどんな発言をしているのだろうと、阪神関係者の胸中は決して穏やかではないだろう。まして発刊日は2月10日と開幕に向けた春季キャンプの真っ最中である。

 野村氏が本書をものした理由は明確だった。第2章「なぜ、阪神監督で失敗したか」の中で述べている。

〈阪神時代の汚名をそそがなくてはならない。私に対する評価は地に落ちた。それを取り戻さなければ私の野球人生は終われない〉

 野村氏はおそらく確信したのだろう。「今年の楽天はいける。阪神の監督として地に落ちた評判を、今年こそ払拭できる」と。本書を書いてもいいタイミングが来たと考えたのではないだろうか。

野村監督への印象が変わる本

 本書の前半は、阪神という球団がいかに「ダメ」なのかという供述に多くを費やしている。いわく、阪神の選手はマスコミにちやほやされ、1軍半の選手でも関西ではすぐにタニマチがついてスポイルしてしまう。勝てなくてもお客が入るから球団は強くする努力をしない。親会社の経営基盤が弱いため、子会社である球団に対しカネは出さないが口は出す。新人獲得やトレード、FAなどの補強に消去的……。

 ここ数年、補強にカネをかけるようになったが、それは星野監督以降の時代で、自分の時代まではひどいものだったなどなど、ぼやきの連発だ。

 プロ野球ファンなら、一度は、耳にしたことのある「ダメトラ」ぶりだが、あらためて当事者の口から語られると、阪神という球団のもつ問題の根深さを実感する。ただ本書の読みどころは、こうした野村氏のぼやきではない。私は本書を読んで、野村氏に対する印象が変わった。

 野村氏は選手としても指導者としても、輝かしい実績を残している。南海時代は三冠王を初め多くのタイトルを獲得、兼任監督として42歳まで4番キャッチャーという重責をこなした。監督としてもヤクルトでリーグ優勝4回、日本一3回。そんな野村氏にとって、唯一ともいえる汚点が阪神の監督だった。3年やって3回最下位では、監督としてこれ以上、悪い成績はない。その後を受けた星野監督が2年目で優勝してしまったのだから、ますます立場がない。

 それでも本人は言い訳したい。井川を育てたのは俺だ。赤星を、藤本を、秀太を発掘したのは俺だ。星野の優勝の基盤は俺が築いたのだと。

 今までの野村氏の印象から、自分が正当に評価されないことへのうらみつらみや、星野氏へのねたみが綴られているはずだ――そう思って読むのだが、本書は違う。

〈野村時代の成果が星野時代に花開いたと言っていただけるのは望外の喜び。多分にお世辞が混じっているのは承知している〉

〈うぬぼれを承知で言うが、私が監督をした3年間で阪神に無形の力が根付いたのではないか〉

 あれ? ノムさんってこんな謙虚な人だった?

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