• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

アフガニスタンの異端者ハザラ人に未来はあるか?

  • 藤田 宏之

バックナンバー

2008年2月29日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 アフガニスタン中央の不毛の地に暮らす民族ハザラ人。顔だちや信仰が違うために、武装勢力タリバンから長く虐げられてきたが、民主化への移行でようやく希望の光が見えてきた。

 シルクロードの隊商や宣教師、さまざまな旅人が、その前を行き交ったにちがいない巨大な石仏は、1500年もの長いあいだ、このバーミヤーンの地を見守ってきた。モンゴル帝国やムガル帝国、ソ連の密使たちも通ったはずだ。やがてアフガニスタンという国ができると、いくつもの体制が誕生しては崩壊した。石仏はそんな歴史の証人でもあった。

 2001年3月、そのころアフガニスタンを支配していた武装勢力のタリバンは、何日にもわたってこの石仏に砲撃を加えたあげく、ダイナマイトを仕掛けて完全に破壊してしまった。



アフガニスタンのバーミヤーン州。農民たちがジャガイモ畑に向かう。奥にある石灰岩の岩山に、ひときわ大きな人の形のくぼみが見える。そこはかつて石仏が1500年にわたってそびえていたが、2001年、武装勢力のタリバンによって完全に破壊されてしまった。
アフガニスタンのバーミヤーン州。農民たちがジャガイモ畑に向かう。奥にある石灰岩の岩山に、ひときわ大きな人の形のくぼみが見える。そこはかつて石仏が1500年にわたってそびえていたが、2001年、武装勢力のタリバンによって完全に破壊されてしまった。

 彼らにとって石仏は、イスラム信仰では崇拝することのない、岩に刻まれた偶像でしかなかった。もともと政治的に孤立していたタリバンは、国際社会の非難などものともせず、歴史や文化より信仰を重んじる態度をはっきりと表明した。そして同時に、石仏のまなざしのもとで暮らしていたハザラ人に、彼らの力を見せつけたのだった。

 ハザラ人は、アフガニスタン中央部の高原地帯、ハザラジャートと呼ばれる地域に暮らす。自らの意志で選んだかどうかはともかく、ここが彼らの土地だ。ハザラ人はアフガニスタン全人口の10%以上を占めていて、そのほとんどがイスラム教シーア派の信者である。そのため、スンニ派優勢の同国では、昔からのけ者扱いされてきた。

 働き者として知られるハザラ人だが、回ってくるのは人がいやがるような仕事ばかり。細い目に平たい鼻、張りだした頬骨というアジア的な風貌からか、ほかのアフガニスタン人から一段下に見られることが多いのだ。自分たちは劣っていると思いこみ、そんな扱いに甘んじるハザラ人も少なくない。

 アフガニスタンを支配するタリバン勢力は、スンニ派の原理主義を信奉するパシュトゥン人がほとんどを占める。彼らはハザラ人を異端者だとか、けだもの呼ばわりしてきた。顔つきがアフガニスタン人らしくなく、信仰もイスラム教徒らしくないからというのだ。

 タリバンがよく口にするのはこんな言葉だ。「タジク人はタジキスタンへ帰れ、ウズベク人はウズベキスタンへ帰れ、そしてハザラ人はゴリスタンへ帰れ」。ゴリスタンとは墓場のことだ。実際、タリバンは石仏を破壊した当時、ハザラジャートを包囲して村々を焼きはらい、人の住めない土地にしようとしていた。

「「ナショナル ジオグラフィック日本版」編集長の「地球からの報告」」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授