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「通常学級」の小中学生100人に1人が…~『発達障害の子どもたち』
杉山登志郎著(評:島村麻里)

講談社現代新書、720円(税別)

  • 島村 麻里

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2008年3月14日(金)

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評者の読了時間4時間40分

発達障害の子どもたち

発達障害の子どもたち』杉山登志郎著、講談社現代新書、720円(税別)

 3年待ち。といっても、予約の殺到するレストランや人気占い師の話ではない。

 本書の著者が勤務するあいち小児保健医療総合センター心療科の発達外来における、新患の受診待機リストである。

 ことばが幼い、落ち着きがない、対人コミュニケーションが上手くできない……。発達障害の子どもはいま、それほどに増えているのだ。

 自閉症、アスペルガー症候群、学習障害、ADHD(注意欠陥多動性障害)。いずれもが、発達障害に含まれる。ただ、それぞれがどう違うのか。評者のように子どものいない者だけでなく、よくわからないという人が、まだまだ多いのではないだろうか。

 本書によれば、発達障害は現在、4つのタイプに大別される。

 第1のグループは、認知の全般的遅れを示す精神遅滞(一般的にはIQ70未満)と境界知能(IQ70~84前後) 、第2のグループは、社会性の障害である広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)、第3のグループは、いわゆる軽度の発達障害(学習障害やADHDなどが含まれる)、そして第4のグループとして、子ども虐待にもとづく発達障害症候群が挙げられる。

 ことばの遅れや集団行動が苦手、といった症状があっても、知的障害を伴う場合とそうでない場合がある。また、児童期と青年期では臨床的特徴が異なり、抑うつ症状や感情障害など、成長の過程でさまざまな併存症が見られるという。本書では、上記4グループについての解説とともに、豊富な症例が示される。

 たとえば、小学時代に発達障害と診断されたA君とB君の例である。

 学習障害とされたA君は、小学校の授業にまったくついていけなくなったが、両親が特殊学級への転級を拒否。中学校で不登校状態となり、高校もすぐ退学、やがて家庭内暴力から引きこもりとなった。

「正常・異常の二分論は完全な誤りだ」

 一方、自閉症とされたB君は、小学校中学年頃から通常学級についていけなくなり、中学で特殊学級へ。養護学校の高等部へ進んで職業訓練を受け、大企業に就職した。

 ふたりはどこが違うのか。問題は自己イメージの形成にある。参加しようとしても理解できない。努力しても成果が上がらない。そんな環境にずっと置かれたら、子どもの自立は妨げられる一方である。極力通常学級へ、と望むことが、はたして子ども自身にとってベストなのか? と、両者の例を通じて著者は問う。

 発達障害は加齢により、また療育によって大きく変化するとも、著者は強調する。〈子どもを正常か異常かという二群分けを行い、発達障害を持つ児童は異常と考えるのは今や完全な誤りである〉

 「障害」という日本語についても、ニュアンスとして断定的すぎるのではと、疑問を呈する。英語(development disorder)の意味に沿えば、「発達の道筋の乱れ」や「発達の凹凸」と表すほうがベターではないか? 本書ではしばしば、「そだちの乱れ」という表現が用いられる。

 また著者は、 IQ70以上の広汎性発達障害を「高機能広汎性発達障害」と呼び(「高機能」とは知的な遅れがないことを意味する)、その中には高機能自閉症、アスペルガー症候群、高機能の非定型(診断基準を満たさない)自閉症が含まれると考えている。

 驚くのは、本書で示される調査結果だ。

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