結婚できない男女が増えている。就職に「就活」(就職活動)が必要なように、結婚にも「婚活」(結婚のための活動)が必要な時代が到来した――。本書では、「パラサイト・シングル」「格差社会」などの概念の生みの親として知られる家族社会学者の山田昌弘氏と、本ウェブサイトで「白河桃子の『“キャリモテ”の時代』」を連載中の白河桃子氏が、晩婚化、非婚化の進む日本の実態を解明し、各種結婚サービスの活用法を紹介している。山田昌弘教授に、現代日本の結婚の実態と具体的な「婚活」について聞いた。
(聞き手は日経ビジネス オンライン 大塚 葉)
―― よりよい結婚を目指して積極的に行動する「婚活」の必要性は、いつ頃から出てきたのでしょうか。

山田昌弘(やまだ・まさひろ)氏
1957年生まれ。1981年東京大学文学部卒業。1986年同大学大学院社会学研究科博士課程 単位取得退学。東京学芸大学教育学部教授(4月より中央大学文学部教授)。専門は家族社会学。著書に『パラサイト・シングルの時代』(ちくま新書)、『家族というリスク』 (勁草書房) 、『新平等社会』 (文芸春秋)など。(写真:新関雅士)
1980年代です。例えば就職について言えば、就職協定などの規制があった頃は、学生の就職先も比較的楽に決まっていました。しかし1980年代の就職協定解除や男女雇用機会均等法施行後、就職難の時代が来た。1990年代には求人も減り、「就職氷河期」が訪れます。よりよい就職先を見つけるには、会社情報を集めたり自分から積極的に行動する「就活」(就職活動)の必要性が、以前より高まってきました。
結婚の場合も同じで、男女交際や結婚についてある種の「規制緩和」が進んだことで、晩婚化、非婚化が始まった。これが1980年代のことです。
「規制緩和」の1つは、恋愛結婚の増加です。国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、「恋愛結婚・見合い結婚の構成比」が1965〜69年頃を境に逆転しました。それまで多く行われていた、お見合いや職場結婚などのような「ほぼ自動的に結婚できるシステム」が減ってきたのです。
恋愛観や結婚観にも「規制緩和」が進みました。例えば「男女交際の自由化」です。男女とも出会う相手が多くなって選択肢が広がったこと。さらに、つき合ったからといってすぐに結婚しなくなった、つまり「別れる自由」が出てきた、ということです。こうした状況が男女の晩婚化、非婚化を促進することになりました。
このため、意識的に「結婚のための活動をする」必要性が出てきたのです。
―― 山田さんのおっしゃる「格差社会」が結婚に関しても登場し、晩婚化や非婚化の原因になっているのではないでしょうか。
男性、特に若年層の経済力格差が、今起こっている問題の根本にあります。以前は、男性は就職すれば収入が安定し、将来的には増大する見込みがありました。しかし今では、「就職できない」「正規社員になれない」などの理由で、経済力がない男性が増えています。安定した収入が見込めないため結婚できない、という状況になっているのです。
男性だけではなく、未婚の女性の間での経済格差も広がっています。昔の女性社員は、「一般職という中ぐらいのレベル」で平等だったのですが、今は(高収入の)「キャリアウーマン」がいるかと思えば、「非正規社員」も多い。
(共著者の)白河さんは、「最近は高収入のキャリアウーマンも出てきている」と言っていますね。確かに以前に比べて増えましたが、まだ一握りです。大多数の女性は、男性に経済的に頼りたいと思っています。それなのに男性の経済力が落ちているので、結婚に至らないというわけです。
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