• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

消えない芸人は空気が読める~『笑いの現場』
ラサール石井著(評:柴田雄大)

角川SSC新書、760円(税別)

  • 柴田 雄大

バックナンバー

2008年3月18日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

評者の読了時間1時間40分

笑いの現場 ひょうきん族前夜からM-1まで

笑いの現場 ひょうきん族前夜からM-1まで』ラサール石井著、角川SSC新書、760円(税別)

 ギター侍、ハードゲイ、小島よしお……。「一発屋」とよばれ、1年サイクルで現れては消えるお笑い芸人たち。その一方で、ビートたけし、明石家さんま、とんねるずなど、お笑いの世界を超越し、多方面で才能を発揮して輝き続けるものもいる。

 昭和から平成にかけ、お笑い芸人の思考や行動はどう変わったか。テレビ局や芸能プロダクションのスタッフ、観客や視聴者はその変化にどう対応したのか。現代のお笑いを、まるで学者が井原西鶴やシェークスピアを分析するように、歴史的、学術的に斬って見せたのが本書である。

 著者のラサール石井氏は、1980年代の漫才ブームを、コント赤信号というお笑いグループのメンバーとして迎えた。ラサール高校卒(大学は早稲田)という芸能界ではめずらしい学歴が売りとなり、ピン芸人としてもクイズ番組などで知性派タレントとして活躍している。

 本書は大きく二つに分かれている。第1章「コント赤信号で見たお笑い界」は、自ら「内側からみた、私でなければ語れなかった」と豪語する、著者が実際、お笑い芸人として生きてきた世界の評論だ。

 評論というのは普通、外側にいる人間がするものだ。内側にいる者では思い入れがあったり、遠慮があったりして、冷静で客観的な分析が難しくなるからだ。

 ところが本書は、そうした懸念をあっさりクリアーしている。ラサール氏は、インサイダーでありながら、アウトサイダーの視点を持ち、その時々のお笑い界の状況やその中での自らの立ち位置についても、第三者のような目線で淡々と綴っている。

 例えば、ストリップ劇場でコントをやっていた1980年、プロデューサーの目にとまり、「花王名人劇場」に初出演したときのこと。

自分の言葉でしゃべれない芸人が消えていった

〈テレビデビューしても生活は変わらず、相変わらずストリップ劇場でコントを続けていた。しかしその方が助かった。なにせネタがひとつしかないのだから、テレビに出続けていたらすぐに飽きられただろう〉

 漫才ブームに火がついてからも、「我々はブームの末席にちょこんと座っている感じだった」「B&Bとザ・ぼんちの人気はすさまじかったが、一番先頭を走っていた者から順に失速していった」といった具合に、冷静に振り返っている。

 現代お笑い史を論じるうえで、ラサール氏が大きな分水嶺として位置づけるものが1981年に始まった「オレたちひょうきん族」だ。土曜日の夜8時という時間帯は、お笑い番組の決戦場だった。

 古くは1968年の「コント55号の世界は笑う」(フジテレビジョン、以下フジテレビ)に始まり、翌年、TBSでドリフターズの「8時だョ!全員集合」がスタート。75年にフジテレビが「欽ちゃんのドンとやってみよう!」で巻き返せば、ドリフは志村けんを前面に立てて盛り返す。80年に欽ドンが終了、その後を受けて登場したのが「ひょうきん族」だった。

 この番組に対するラサール氏の分析が秀逸だ。ラサール氏はひょうきん族がお笑い芸人を淘汰した、すなわち「自分の言葉でしゃべれない芸人は消えていった」とみている。ひょうきん族の番組づくりの最大の特色は、漫才コンビをすべてバラバラにしたことと、持ちネタを一切、やらせなかったことだ。

 芸人のバラ売りが始まると、ネタで生きてきた根っからの漫才師は次第に輝きを失っていく。典型がB&Bとザ・ぼんちだった。一方で、急速に台頭したのが明石家さんま、島田紳助、ビートたけしといった「自分の言葉でしゃべる」芸人であった。そして彼らは今もなお、この世界の先頭を走り続けている。

コメント3

「NBO新書レビュー」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

もっと事業を効率化して、料金を下げて、消費者に貢献しないと業界はだめになってしまう。

和田 眞治 日本瓦斯(ニチガス)社長