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「共有地」へのただ乗り、防げるでしょうか

  • 小橋 昭彦

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2008年3月18日(火)

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ムラからの手紙

 夢会議と名づけられたシンポジウムがあり、テーマが「都市のクラシ×農村のクラシ」と、自分の興味と重なっていたので、覗いてきました。兵庫県下各地から、都市農村交流などに取り組んでいる人たち300名ほどが参加、「田舎に住まう」「つくる、たべる」などのテーマに分かれた分科会を経て、全体会でのディスカッションを行いました。

 全体会では、「日役(ひやく)というのがあって驚いた」と感想を述べた移住者があり、それに対して農村に住む人から、日役を義務と考えないでほしい、という主旨の発言がありました。日役については以前あなたにはお伝えしましたが(「柵を作るのが、ヘタになっていませんか」)、簡単に言えば、集落の全世帯が出て一緒に草刈をしたり道掃除をしたりする活動です。不参加の場合は、一定の費用を集落に納めることになります。年に数回あるのですが、移住者にとっては住んで初めて知ったという場合が少なくありません。

「運命共同体だから」共有地をみんなで管理しよう

 日役を義務と考えないでほしいとはこういうことです。

 まず、農村というのは、運命共同体なのだと、その発言者は表現しました。みんなでひとつの環境を守っていく、そのことによって成り立っているのが農村だと。自分の家を掃除するのと同じで、そこに暮らす以上、生活環境を守るための活動に参加するのは自然なことです。その上で、参加できない場合に納める不参金についても、罰金として徴収されるととらえるのではなく、参加できない分、せめて現金で弁償させてもらうという有志と考えてほしいと。

 この発言にうなづく人も多く、モデレーターからも、「農村は運命共同体だという考え方にはヒントがありそう」といった主旨のまとめがありました。ぼく自身も、ふだん考えていることに近かったこともあり、うなづいていました。農村という空間は、リゾートのように単なる場所ではなく、日々人の手が入って保たれている生活空間です。農村に暮らすことは、住居を構えるだけではなく、そうした生活の営みに参加するということであると理解(あるいは覚悟)したい。農村は、村人の共有地なのです。

 ところが、こうした、この時点でのぼくの納得は、次の日に別の移住者から聞いた話によって、おおいに反省させられたのでした。

共有地は自分(だけの)ものじゃない。だったら外部に委託して…

 その話に移る前に、農村は村人全員の共有地であるという考え方について、少し補足しておきます。現代の暮らしの中では、共有地が見えづらくなりつつあるということです。

 たとえば、あなたが暮らしている東京の街だって、私空間だけではなく、共有の空間があります。町内会で溝掃除をされたりもしているのでしょうけれど、農村ほど「日役」に縛られることはないでしょう。それはなぜでしょうか。

 ひとつの可能性として、行政が管理しているからと考えられます。「共有地」という考え方を柱に理解するなら、行政というのは、共有地を管理するにあたって、自分たちが(税金という形で)お金を出し合い、代行させるために設けた専門の組織といえないでしょうか。ところがお気づきのように、ぼくたちにこの感覚はあまりありません。公共の空間は自分たちの共有地ではなく、「公」の所有物と考えます。専門化が進んで、自分たちの生活の実感から遠ざかっているのかもしれません。

 今ひとつの可能性として、民間に管理委託している場合があります。自分の家をハウスクリーニングサービスに任せるように、共有地の管理を外部のサービスに委託しているのです。これは消費社会のひとつの特徴で、ぼくたちはこれまで、生活のあらゆる分野で外部化を進めてきました。外食やテイクアウトなど、食もそうです。いまや育児や介護も外部化されつつあります。共有地の管理においてもそうでしょう。

 ところで、田舎でも都会と同じように行政サービスや外部委託サービスとして環境保全を行えるかを考えると、ちょっと難しそうです。土地が広い上に、草刈が必要など、人工化されず手のかかる環境が多い。対して人口は少ないですから、(実際に試算したわけではないものの)実現しようとすると一人当たり結構な出費になりそうです。ぼくも若い頃は、道路整備や消防は行政がやるべきことではないかと思っていました。最近では、それは難しいように感じています。

 さて、先の「運命共同体」発言に対して、翌日、別の移住者から聞いた意見です。

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