
(c)R・T・ジョーンズIIクラブ・ジャパン
R.T.ジョーンズ・ジュニアはアイビー・リーグのエール大でゴルフ部にいたが、学生時代には、父の跡を継いで設計家になるつもりはなかった。文学や政治に興味があったからで、卒業後さらにスタンフォード大で経済学を専攻した。
しかし、数字に取り組む生活に疲れ、やはり思い直して父の助手になる。父の設計現場で働くうちに自分独自の設計術を学び、「エルドラド」(カリフォルニア州)がデビュー作だった。父の図面と彼の図面を見たオーナーが若いジュニアの方を選択したのだ。
スケールの大きいゴルフを奨励する父親の図面よりも、丘と谷の高低差を生かしたジュニアの図面にはアベレージにも楽しめるロマンがあったからだ。パワーのあるトッププロが挑戦しがいのあるコースではなく、あらゆる層のゴルファーに興奮と快感を提供するデザインを目指したのだ。
彼には設計をテーマにした著作がある。『Golf by Design』といってすべてのゴルファーに必要なコース攻略の意味と方法を解説している。
「ゴルフとは野外で行うチェスゲームだ。プレーヤーが自分なりの攻略プランを考え、実行してより良いスコアを目指す」ことを目標とすべきだと説明する。「考えるゴルフ」によって、パワーよりインテリジェンス(知性)を尊重する設計ともいえるだろう。とはいえ、父親の築き上げた米国式近代設計術は素直に受け継いだ。大胆なウォーターハザードの導入、審美性あるグリーン造型などに、ジュニアならではの個性が光る。
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「コースとはプレーヤーの放つショットの価値(ショットバリュー)をスコアという数字に置き換える競技場なのだ。ベストなショットがパーやバーディのスコアに結びつくレイアウトが基本なのだ」と言う。 だから、「池や谷の危険なエリアを勇気あるショットで超えたとしたら、次打が有利になりバーディを取れる可能性が高くなるべきだ」と主張する。
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