「ゴルフはミスのゲームだ」というフレーズを幾人もの選手たちの口から聞いた。ゴルフに完璧はない。必ずミスをおかしてしまう。そのミスの度合いや影響をいかに小さく抑えることができるかが、ゴルフにおける勝負なのだと彼らは説明してくれた。「なるほど」と頷ける話だ。
ところで、カミロ・ビジェガスという選手をご存知だろうか。コロンビア出身の26歳。米ツアー3年目で未勝利だが、日本では昨年、日本のコカコーラ東海クラシックで優勝した。
ビジェガスといえば、なんといってもパットのラインを読む際のユニークなポーズが知られている。腕立て伏せの変形のような、地を這うような姿勢。彼が米ツアーにデビューしたとき、なぜあんなポーズを取るのかと尋ねてみた。
「僕は完璧主義者だ。なんでもパーフェクトな方向へ近づかないと気がすまない。あのポーズは試合中に偶然発見したんだけど、ラインを読む上で一番正確で完璧に近い位置は、グリーン面すれすれまで視線を下げるあの位置だと気が付いた」
聞いたときは、とりあえず「へえー!」と感心した。だが、しばらくして、ふと思った。完璧なんてありえないと言われるゴルフの世界で、完璧主義という彼のフィロソフィーは果たして通用するものなのだろうか、と。そして、完璧主義者のビジェガスが完璧を追求したいがゆえに実行しているあのポーズは、本当に完璧なラインの読みを彼にもたらしているのだろうかという疑問が沸いてきた。
そんなある日、ビジェガスが面白いことを言った。この一言を聞いたとき、「ふむふむ。なーるほど」と、あらためて頷かされた。
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