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村上春樹が短編の名人だということを知っていましたか?

『東京奇譚集』村上春樹著 新潮文庫 400円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

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2008年4月4日(金)

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『東京奇譚集』村上春樹著

『東京奇譚集』村上春樹著

 書物が相対的に高価になりつつある現状で、500円玉でお釣りがくるこの1冊はお薦めだ。前書きに近い一文で、本書の奇談ぶりが余すところなく述べられている。

 『偶然の旅人』の一編が秀逸で、ぼく(村上)の語り口で奇談が述べられていく。語り口はこよなく優しいのだが、ふっと深い深淵をのぞき込むような気にさせるところが村上流短編の醍醐味なのだろう。

 かつてこのコラムで、日本にはサキのような短編作家がいないと嘆いたことがあったが、本書はそれが杞憂だったことを証明するものだ。読み進むに連れ、漂流子は、これはサキではないか、と思い始めた。奇想ががまた宜しい。

 『日々移動する腎臓の形をした石』、『品川猿』などタイトルの付け方も村上春樹ならではのものがある。

『Carver's dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選』カーヴァー著 村上春樹訳

『Carver's dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選』カーヴァー著 村上春樹訳

『Carver's dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選』カーヴァー著 村上春樹訳 中央公論社 647円(税抜き) 

 『傑作選』というより、『カーヴァーズ・ダズン』といった方が本書の雰囲気を伝えるだろう。ダズンとは12のこと、つまりダースだ。カーヴァーの短編作品の中から、12編を選りすぐった1冊である。

 レイモンド・カーヴァーは日本ではあまり知られていない。奇妙な味わいの短編を村上春樹が12編まとめて1冊にした。ある作家の短編の読み方として、このような方法がもっとも優れているように思う。

 最初の1編を読み終わったら、それだけで終わらないことにたちまち気付いた。もう一編もう1編と、とうとう最後まで読み終えた。これはカーヴァーの短編の不思議さのおかげでもあるのだが、実は編者村上の手柄でもあるな、と思い至った。

 アメリカのハイウェー沿いのモーテルで過ごす一夜で、ダブルベッドを1人で占有しながら読むのに、カーヴァーはぴったりなのだ。

 集中、『足下に流れる深い川』が良かった。ある出来事が、夫婦の中を決定的に引き裂いていく過程が、妻の立場からじわりと書かれている。

 今度、なにかカーヴァーのものが出たら、読んでみよう。翻訳の力量が問われる作家なので、もちろん村上訳が良い。

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